B型肝炎に感染したのは国の集団予防接種での注射器使い回しが原因だとして、予防接種時や出生時、道内に居住していた患者8人が30日、国に総額2億7500万円(1人当たり1650万~5500万円)の損害賠償を求めて札幌地裁に提訴した。3月に札幌地裁を皮切りに起こした訴訟の第4陣で、この日は東京、広島、松江の各地裁にも計30人が一斉提訴した。
札幌地裁に提訴した8人は34~65歳の男性5人、女性3人。集団予防接種が原因で感染した親から母子感染したとみられる慢性肝炎の患者が、道内で初めて提訴した。
原告に加わったのは道南に住む母(56)と関西在住の長男(34)。長男は99年3月、風邪が長引いたため検査したところ感染が判明。医師に「母子感染の可能性がある」と言われ母も検査し感染が分かった。母は「長男に『お母さんより長生きできないかもしれない』と言われた。裁判で長男に対する申し訳ないという気持ちを晴らし、国の責任を認めさせたい」とのコメントを出した。
また弁護団は、7月に提訴した原告で道東に住む男性(60)=肝硬変=が9月5日に亡くなったことを明らかにした。3月に始まった全国の集団提訴で、裁判中に原告が亡くなったのは初めて。奥泉尚洋弁護士は「肝炎患者はいつ亡くなるか分からない。一日も早い救済を求めたい」と話した。【芳賀竜也】
毎日新聞 2008年9月30日 23時24分