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2008年10月2日

 コメの作況指数が発表された。石川102、富山103の「やや良」で、全国的にも7年ぶりの豊作になる見通しである

が、先の水害で泥をかぶった山間部の田んぼには赤茶けた稲が刈り取られないまま枯れている。全国データで「やや良」とされた南九州でも稲刈り直前の台風被害で豊作予測が一転、収穫が泡と消えた水田があるという

「芽を出しても穂を出さない苗がある。穂を出しても実の熟さないことがある」と孔子の論語にある。天災に見舞われた農家の実感では「穂が熟しても収穫できない稲がある」といえようか。収穫は手にするまで安心できないのである

皮肉にも、この教訓を示したのは米国だった。成立が確実視された「経済安定化法」が一転、下院で否決され、金融危機がさまよっている。その理由が11月に迫った選挙対策優先と言うのだから、戸惑うのは米国民だけではない

議会制民主主義の「議会制」と「民主主義」の理想が一致しない事例を見た思いである。瑞穂の国日本も同じだろう。迫る総選挙を前にして頭(こうべ)を垂れる「稲穂たち」を見て、豊作と思い込むのは早計だ。


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