ここから本文エリア

現在位置:asahi.com>関西>Do! オフショット> 記事

9回も息子も僕が守る 加藤大輔(プロ野球)

2008年04月17日

 マウンド上で険しい表情を見せるオリックスの守護神も一児のパパ。試合後はすぐさま帰宅し、昨年9月に誕生した長男の愛らしい顔をしばし眺め、指先でそっと柔肌をなでるのが毎日の楽しみだ。「最近、歯が生えて表情が出てきたんですよ。ほんとかわいくて。将来は投手をやらせるか野手にするか、妻とそんな先のことまで話すんです」と自らの親バカっぷりに照れ笑いを浮かべる。

写真初めてという私服姿での撮影に緊張しっぱなし。「これなら9回2死満塁で登板する方がまだましですよ」=山崎虎之助撮影
写真得意のナックルカーブを投げる加藤大輔=日刊スポーツ提供

 息子の笑顔に癒やされつつも、「こいつのために頑張らないと」と気も引き締められる。9回の出番に備え、毎試合ブルペンで肩をつくるのを怠らない。背番号と同じ数の15球をミットに投げ込み、登板を告げられるといざマウンドへ。その時の心境はというと、「がけから岩がゴロゴロ転がってきて、先発も中継ぎもみな吹っ飛ばされた。最後は自分だけ。振り返ると後ろもがけで、その下にある町を僕が守ってやる、という強い気持ちでマウンドにあがるんです」。

 昨季、自己最多の26セーブをマークした。さらに飛躍を期す今季、フォークという武器を手にした。

 きっかけは昨季終了後、北京五輪アジア予選日本代表候補に選ばれ、代表合宿に参加したことだった。阪神の藤川や巨人の上原ら、球界を代表する投手たちの投球動作を観察していて気付いた。「腕を下にたたきつけるのか」

 高校時代からずっと習得を目指してきた球種のイメージがやっと思い描けた。「たくさんのフォークに関する情報の引き出しが一つに整理できた感じ。自分の中ですべてが一つにつながった」。持ち球が増え、投球の幅はさらに広がった。そして、昨季をしのぐペースでセーブを積み重ねている。

 目標は、やはりセーブ王。今季はソフトバンクやロッテ、楽天など抑え不在に悩む球団が多いだけにチャンスはある。「だからこそ、狙ってとりたい。息子が物心ついた時に格好いいパパでいたいし、1回は(セーブ王を)とったぞ、って自慢したいですよね」(榊原一生)

 かとう・だいすけ 80年7月27日生まれ、福岡県出身。九州国際大付高、神奈川大を経て02年のドラフト自由枠でオリックス入り。ナックルカーブを武器に新人の03年から43試合に登板。昨季は自己最多となる26セーブをマークし、北京五輪日本代表候補に選出された。179センチ、90キロ。

このページのトップに戻る