【社説】建軍60年、軍は大韓民国の現在と未来に備えよ
韓国軍が創設から60周年を迎えた。1948年9月に日本軍が置いていった99式小銃で武装した朝鮮警備隊5万人で創設された軍が、現在は兵力68万、国防費では世界9位の軍隊へと成長したのだ。さらに世界で5番目のイージス艦保有国となり、砲塔が水中にあっても性能に問題がない最先端戦車を独自開発できるほどの能力も備えるようになった。
分断された祖国で創設された韓国軍は、民族相争う韓国戦争(朝鮮戦争)や南北の対立、さらには南北対話の時代を経て、今後もいつ訪れるか分からない韓半島(朝鮮半島)有事に備え、さらにはその先の統一まで視野に入れた歴史的任務を背負っている。しかし時代が変わったとしても、憲法第5条2項にある「国軍は国家の安全保障と国土防衛の真正な義務を遂行する」という軍の使命が変わることはない。
われわれが対峙(たいじ)している北朝鮮は、全人口のおよそ5%に当たる117万人の兵力を持つ軍事国家だ。20年近く続く経済破たんで国民を飢えに追いやりながらも、国家予算は優先的に戦力増強に振り分けられている。有事の際には休戦ライン越しに、北朝鮮軍の1000以上の長射程砲が1時間に最高2万5000発の砲弾を発射できるという。また2006年9月の核実験成功後は、伝統的な南北の軍事力比較自体に意味がなくなってしまった。一方在韓米軍は後方へと下がり、米軍が持つ戦時作戦統制権も2012年には韓国軍に引き渡される。米軍による対歩兵レーダーや精密射撃の支援がなくなれば、韓国軍は自ら北朝鮮の長射程砲の攻撃を防ぐだけの戦力を持たなければならない。
重要なのは戦時作戦統制権の移譲が実現し、新しい韓米共同防衛体制が稼動した後だ。韓国軍はどのような戦力を持って軍事作戦を主導し、米軍はどのような支援体制を持つのかといった任務の細かい分担やそれに備えた訓練などが新たに必要となってくるからだ。
北朝鮮政権が国内での統制力を失うという非常事態が起こった際、韓半島を取り巻く情勢は現時点では予測もできない混乱に陥る可能性が高い。北朝鮮と中国が1961年に結んだ友好条約には、「一方が戦争状態になれば相手側はすべての力を尽くして速やかに軍事的援助やその他の援助を提供する」と明記されている。最近は金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康異常が明らかになったように、北朝鮮の急変は単純な仮想の現実ではなくいつかは必ず起こるものとなった。韓国軍はこのような韓半島有事の際に備えた戦略の樹立をこれ以上遅らせられない。
統一と統一後の状況まで考慮に入れれば、われわれは早期警戒機や偵察衛星も保有する日本や、さらには衛星攻撃用ミサイル実験に成功し最先端技術を備えたステルス機も開発中の中国までをも、安保上の重要国として考慮に入れる必要がある。だとすればこれら世界第2位と第3位の経済大国の間でどのようにして国の安全保障を確かなものにするのかという点は、わが軍の将来における重要な課題といえるだろう。
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