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 2008年9月28日
２００８年のレギュラーシーズンが終了しました。
今年も世界のあちこちから、たくさんの応援をいただきました。
返事は書けませんでしたが、すべてのメールを拝読しています。
明るい話題がほとんどお届けできなかったことを申し訳なく思っております。
今日はひさーーーー（４ヶ月経過）ーーーーーーーーしぶりの先発。
ヒットも出て打点もついて、少しだけ気持ちが晴れました。
「使ってくれれば貢献できるんや！」と、試合中、心の中で言い続けたその言葉が
首脳陣に届いたかどうかはともかく、終わりよければすべてよし、と
思うことにします。そのほうが気分がいいですもんね。
ところで、９月のコールアップで上がってきた若手選手が、
今日メジャー初ホームランを打ちました。
こういった若手のめでたい初ものや、長いこと不調だった人が
大きな仕事を成し遂げたときに、「コールド・ショルダー」をするのが
メジャーのならわしになっています。
日本語だと「冷遇」「冷たい態度を取ること」。
彼がホームランを打って、興奮気味にダグアウトに戻ってきた時、
他の選手たちは皆、腕組みをしてベンチに座ったまま、あらぬ方向を見ていました。
出迎えに行きかけた、事情を知らない若手はみんな、袖を引っ張られて
無理やり座らされ、笑いをこらえながらも神妙に下を向いています。
（何で誰も出迎えてくれないの？なんでハイタッチがないの？）
見る見る、彼の表情が曇っていきます。いかにも背中が悲しそうです。
その瞬間、全員が笑いながら立ち上がって、ハイタッチやハグで
祝福するのです。この一瞬のドッキリと、そのあとの熱い出迎え。
きっと彼の初ホームランを、より忘れがたいものにしてくれたことでしょう。
さて、３日後からはプレーオフが始まります。
今の段階で、プレーオフのメンバーが発表されていないため、
僕が出場できるかどうかはまだわかっていません。
できても、できなくても、これまで自分のやるべきをやってきたし、
今後もそのスタンスは変わりません。
このメールも今日から不定期になりますが、
フィリーズが勝ち進む限り、たとえ僕が出ていなくとも、
応援よろしくお願いいたします。
感謝を込めて 田口壮
ペンシルベニア州フィラデルフィアにて 田口壮 
2008年9月27日
フィリーズが地区優勝しました。
まるでワールドシリーズを制覇したかのようなテンションで、
（今この状態やったら、勝ち進んだ時にどうなるんやろう？）と
思わせるような騒ぎでした。
カージナルスの頃は、地区優勝はあくまでもプレーオフへの通過点で、
喜びはするものの「ああ、勝ったね」という穏やかな安堵が、
球団、選手、そしてファンの間に漂っていただけに、このはしゃぎようが
少し不思議で・・・と、いかんいかん。こんなスレた気持ちを持ってたらいかん。
僕は贅沢病に侵されているようです。
きっとシーズン通して出場していたら、喜びも違っていたのでしょうね。
それは正直なところ。
だから今夜はなんとなく引いた目で、傍観してしまった優勝でした。
シャンパンファイトももっぱら井口選手と「何にもしてないけどなー！」と
お互いを慰めあいつつ行いました。３０秒くらい楽しかったです。
達観しようとしても、盛り上がろうとしても、
どこかで「出場していない自分」に対する負い目が出てきます。
周りが嬉しそうであればあるほど、自分が浮き上がっていく感じです。
しかし、優勝に縁があるのだけは確か。これからはチームの
ラッキーチャームとして、
「田口がいるチームは優勝する」という話を、口コミで広めなければ。
ペンシルベニア州フィラデルフィアにて 田口壮
2008年9月26日
ＧＭのパット（ギリック）から、ランチのお誘いを受けて行って来ました。
気軽におしゃべり、なのかと思いきや、アシスタントＧＭや、他のフロントの
スタッフがずらり。しかも全員が起立してのお出迎えです。
「シーズンももう終わるけど、ちゃんと話す機会がなかったから・・・」
「なかなか出場機会を与えてあげられなかったことを、本当にすまなく思ってる」
「でも、フィリーズは貢献に対して、感謝しているということを伝えたかった」
一番忙しい時期に、端役に対して気遣いができる、
フィリーズはそんなチームです。
（勝ったら、俺がこのチームにいたから、と胸を張ったらいいやんか）
（負けたら、俺を使わんからやと思ったらいいやんか）
今日勝って、マジックは１。明日メッツが負ければ、うちが負けても
優勝が決まります。しかしやっぱり最後は勝って優勝したいもの。
こういった雰囲気が盛り上がるにつれて、これまでのもやもやが、
興奮に紛れてどんどん薄れていくのを感じています。
ペンシルベニア州フィラデルフィアにて 田口壮
田口選手宛のファンレターはこちらまで letter@taguchiso.com
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