| 太極旗と「日の丸」を掲揚した 竹渕小での卒業式 |
国際理解教育の一環
“違い”認めあう関係願い
【大阪】八尾市立竹渕(たこち)小学校(太城達夫校長)は17日、第52回卒業証書授与式席上、壇上に「日の丸」と並んで太極旗を立て、韓国籍児童の巣立ちを祝った。同校が今年度の研究主題としてきた国際理解教育の一環として実施、開校以来初めての試みだ。
太極旗が置かれたのは会場から舞台に向かって右側の位置の「日の丸」の右隣り、さらに離れて校旗が置かれた。
地元の在日同胞、崔廣美さん(50)も会場を訪れ、「学校の取り組みとして多文化共生を通して国際理解教育を推進してこられた学校に対して太極旗掲揚を保護者の立場からお願いしてきました。これからも在日外国人の存在を認めあい、共に生きる学校と地域づくりを目指してほしい」と述べた。崔さんが保護者だった時代には実現しなかったが、同じく保護者の劉水子さん(45)の子どもである車鉄平君が卒業する今年になってようやく念願がかなったという経緯がある。
今年の3月現在、同校に在籍する児童は全部で312人。このうち韓国・朝鮮籍は21人に過ぎないが、日本籍も含め全校児童の約半数近くが韓半島になんらかのルーツを持つといわれる。このため、同校では92年から93年にかけて市教委から「在日外国人教育推進校」としての指定を受け、「在日外国人児童と日本人児童が共に育つ集団づくりをめざして」きた。
また、7年前には「民族クラブ」を開設した。現在、日本人の児童も含め35人が民族講師の梁優子さんの指導のもと毎週火曜日の午後2時間、低学年と高学年のグループにわかれて韓国の歌や遊びを学んでいる。
同校は今年度、研究主題に「地域を知り、地域を好きになり、地域の方々と共に児童を育てる総合的な学習(国際理解)」を掲げていた。今回、卒業式会場に太極旗を掲げたこともこの研究主題に基づいており、韓国籍の子どもの卒業を心から祝いたいとの気持ちを込めたという。
式辞を述べた太橋校長は「卒業式にあたって日本の国旗と韓国の国旗を掲げたのは韓国籍の友だちも卒業を迎えるからです。世界の国々に一つ一つ違う国旗があるように、生活習慣もそれぞれ異なる。この違いを認めあいお互いに信頼関係を築くことが大事です」と述べた。
今年の卒業生56人のうち在日韓国人は4人だった。このうちの一人、車君は青とピンクの色鮮やかなパジチョゴリで卒業式に臨んだ。大橋校長から本名の卒業証書を授与される車君には会場から大きな拍手が送られた。
車君は今春、八尾市立亀井中学校に本名で進学することが決まっている。
(2001.03.21 民団新聞)
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