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トップ > 農業技術センター > 技術情報 > 土壌肥料対策指針 > 4.土づくりの実際 3)野 菜
4.土づくりの実際

 3)野 菜
 野菜は多肥による集約栽培が連続して行われることが多く、土壌の酸性化、塩基バランスの不均衡、物理性の悪化などがおきやすい。また、施設栽培では施肥量が多く、降雨の影響がないため塩類(土壌養分)集積が問題となる。野菜は他の作物と比較して濃度障害、微量要素の欠乏症が発生しやすく、また土壌養分の不均衡は収穫物の品質等への影響も懸念される。したがって、土壌分析等によって適正な土づくり、肥培管理を行うことが重要となる。

(1) 育苗用床土
 「苗半作」といわれるように、苗の良否は作物の生育や作柄に大きな影響を及ぼす。その苗を育むのが育苗培土であり、優れた性質を備えていなければならない。良い床土の条件は、作物に吸収されやすい養分が豊富で、均衡のとれた状態で含まれていること、保水性、透水性、通気性にすぐれていること、病害虫や雑草の種子、有害物に汚染されていないことなどである。
 
  1)慣行(熟成)床土の作り方
 土はやや粘質がかった田土や山土を使用する。土を20cm程度の厚さに敷き、表面にまんべんなく石灰をまいたその上に堆肥、稲わら、きゅう肥などの有機物を土と同じ厚さに積む。その表面に石灰窒素を薄くまき、再び厚さ20cmほどの土を乗せる。以後、石灰、土、ようりん、有機資材、ナタネ油かす、土の順にくり返して積み上げる。1〜2か月に1度、2〜3回、これを切り返して熟成をうながす。最終の切り返しのとき、必要に応じて硫安(尿素)、硫加、過石などの肥料を加え、さらに作物の種類に応じて完熟堆肥や土を加えて仕上げる。

  2)促成床土の作り方
 使用する直前に作る方法で、有機物は完熟したものを切断して使う。山土を風乾し、塊を砕き、できればふるいを通しておく。酸性矯正のための苦土石灰を加えた後に完熟堆肥を混合する。土と堆肥の混合比(容積比)はトマト用で1:1、ナスで3:1、キュウリで1:3ぐらいがよい。さらに土1m当たり硫安1kg、過石600g、硫加250gを加えよく混合する。これらの代わりに有機質肥料を使うときは、1か月程度堆積してから苗を植えるのがよい。肥料は濃度障害をおこしにくい緩効性のものを用いる。速効性肥料の場合は、水に溶かして良く混合する。

(2) 露地栽培土壌
  1)有機物の施用
 第16表に示した施用基準は地力維持に必要な施用量であるが、これらの有機物の中には窒素などの肥料成分をかなり含んでいるものがある。また、逆に未熟な有機物では窒素のとり込み(窒素飢餓)があるので、注意が必要である。作物の種類、有機物の種類、施用量によって施肥量を加減しなければならない。また、野菜は生育阻害物質の影響を鋭敏に受けるので、未熟堆肥の施用は極力避け、完熟堆肥を使用する。生育障害の発生が懸念される場合は発芽テストなどを行って安全を確かめるのもよい。また、未熟な堆肥は早目(2〜3週間前)に土と混和すると障害は軽減される。
 土壌の物理性改良効果の高い有機物は、バーク、モミガラ、オガクズの入った資材である。ただ、これらの資材を多量に連年施用すると孔隙が多くなり、干害を受けやすくなった例もみられる。

 表16
  2)酸性矯正と塩基バランスの改善
 作物ごとの好適pHを第17表に示した。土壌pHの矯正は炭カル添加通気法によって決定するのが原則であるが、簡易に石灰施用量を求めるには第5表を目安とする。最近の畑土壌の調査例をみると土壌pHの高い土壌がかなりみられ、それによる障害と思われるものも少なくない。石灰の施用は画一的に行わず、少なくとも2〜3年に1回は土壌診断を行って適正に保つ。家畜ふんを含む堆肥はカリなどを多量に含むので、塩基バランスが崩れないように注意する。特に土のカリ含量が高いとマグネシウム欠乏症が発生しやすい。

表17 
  3)深耕と排水対策
 深耕によって作土層を厚くすることは根域が拡大し、作物の収量を安定かつ高位に保つ上に重要である。深耕は有機物の施用と共に行わないと、効果が持続しない。また、作土に下層土が混入し、地力が低下し、収量が低くなることもあるので、堆肥などによって地力増強に努める。ほ場の排水が悪い時は暗きょなどを設けて排水に努める。水田転換畑のように周囲から水が浸入する時は、明きょの効果が高い。

(3) 施設栽培土壌
  1)有機物の施用
 野菜畑における有機物の施用基準量は第16表のとおりである。施設土壌では、温度が高く微生物の活性が旺盛なので有機物が分解しやすく腐植の消耗が大きい。従って、有機物の施用量は露地より多くする必要がある。しかし、家畜ふん堆肥等の中には肥料分を多く含む物があり、多量の有機物を連用すると土壌中に蓄積して作物の生育や品質に悪影響を及ぼす恐れが大きい。従って、連用する場合には有機物の施用量や施肥量を減らす必要が生じる第18表。
   
表18 
  2)塩基の補給、塩類集積対策
 施設土壌では雨による塩類溶脱がないため塩類が集積しやすい。特に施肥量の多い作物では、肥料分が全部吸収されずにかなり残存する場合がある。施肥前に土壌の電気伝導率(EC)を測定し、第19表を参考にして施肥量を加減する。また、リン酸や石灰、苦土、カリなどの塩基が集積しやすく、塩基間のバランスも問題となる。塩基バランスのくずれは相互の吸収抑制を引き起こし、それによる要素欠乏の原因となるので、作付終了後に土壌診断を行い、それに基づいた肥培管理を心がけることが特に重要である。

表19 
  3)除塩対策
 除塩対策としとは、クリーニングクロップによる吸収除去、深耕による下層土との混合などがある。


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