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4.ぼかし肥の作り方

 1)ぼかし肥の特徴

 ぼかし肥は古くから篤農家の技術として使われていたが、最近は有機栽培等に欠かせない肥料として見直されている。ぼかし肥について明確な定義はないが、油かすや米ぬかなどの有機質肥料に山土やモミガラなどを混ぜ、発酵させて作成した肥料であり、土などで肥料分を薄め、さらに発酵させてぼかすところからぼかし肥と呼ばれている。一般に、有機質肥料は化学肥料に比べると分解速度が遅く、遅効性の肥料として位置づけられている。ぼかし肥は有機質をいろいろな割合で配合して成分を調整し、しかもある程度発酵させて、有機態の窒素成分を一部はアンモニアや硝酸に無機化させており、遅効性と速効性の両者のよいところを併せ持った肥料といえる。

 2)ぼかし肥の材料

  1. 有機質肥料

     ぼかし肥の材料としてよく使われる有機質肥料を第2表に示した。窒素の多いものとリン酸が多いものを組み合わせることが基本となる。窒素は油粕類を中心に、リン酸は骨粉を中心に組み合わせる場合が多い。米ぬかには各種の成分がバランスよく含まれており、微生物の繁殖を促進する効果に優れている。このため、米ぬかは多くの微生物資材で培養用の副資材として使用されており、ぼかし肥においても発酵促進用としてよく使用される。一方、有機質肥料にはカリはあまり含まれていない。不足分は草木灰や硫酸カリで補うと良い。
     tab2
  2. 土 壌

     ぼかし肥はただ有機質を発酵させた肥料ではなく、有機質肥料とほぼ同量の山土や粘土資材などを加える。発酵時に出る匂いはアンモニアガスによるものが主体で、そのままでは窒素が揮散してしまうことになる。土壌には肥料成分を保持する働きがあり、アンモニアを吸着する。したがって、利用する土は、CECが高く保肥力の強いものが 適している。また、土壌に含まれる微生物は発酵の種菌になる。
  3. その他の資材

    保肥力の強い土の入手が容易でない場合は以下の資材を利用することで改善できる。
    • ベントナイト
      CECが高く(50〜100me)、ケイ酸を含んでいる。水を吸って膨張する性質がある。
    • ゼオライト
      沸石を含む凝灰岩からなり、CEC(100me 以上)はベントナイトよりさらに大きい 。また、ゼオライトで土の20〜30%を代替することにより、孔隙が増え、好気発酵が促進される。また、脱臭効果も優れている。
    • バーミキュライト
      ひる石を高温で焼成したもので、通気性や保肥力の改善効果に優れている。

 

 3)ぼかし肥の作り方

  1. 場所とおおいの仕方
     つみこむ場所は屋内が望ましい。適当な場所がなく屋外で作る場合は、雨に当たらないように保温もかねてビニールシートで覆う。屋内で作る場合は、コモやムシロなどでおおい通気性を確保する。積み込みは各材料を薄い層にして何層にも積み重ね、切り崩しながら水をかけ、まんべんなく混ぜ合わせる(第5図)。
  2. 水分状態と発酵温度
     発酵時の水分はぼかし肥作成の重要なポイントとなる。水分が多すぎると温度が上がらず嫌気的な発酵になり、悪臭が発生する。一方、水分が少なすぎると急速に高温となり、アンモニアが揮散して窒素が減少する。理想的な水分状態は50〜55%で、握ると固まり、指で軽くつつくとほぐれる状態を目安とする。
    発酵温度は水分が少ないほど、また土の割合が少ないほど上がりやすい。切り返しの目安は表面から深さ10cmの温度が50〜55℃になったときとする。これ以上の高温になるとアンモニアの揮散が多くなる。夏季で1昼夜、冬季で3昼夜ぐらいおくと50℃前後になるので最初の切り返しを行う。いったん温度が下がるが、発酵により再び上昇する。3〜5回切り返しを行って発酵完了とする。
      fig5
           第5図 ぼかし肥の作り方



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