ニューヨーク(ウォール・ストリート・ジャーナル)空売りは、まったくもって問題ではなかったのかもしれない。
先週、米当局が金融株を対象とする空売りを禁止したにもかかわらず、崩壊する金融機関は後を絶たない。これで空売りを標的にしたのが間違いだったことがはっきりした。投資家は新たな信用売りポジションを追加することができなくなっているが、米ワコビア(NYSE:WB)は米シティグループ(NYSE:C)に格安な価格での身売りを余儀なくされ、米モルガン・スタンレー(NYSE:MS)と米ゴールドマン・サックス・グループ(NYSE:GS)の株価は29日に10%強下落した。
空売りが最近、増加傾向にあることを示す明確な証拠は皆無だった。いくつかの統計によると、金融株の空売りは実際にはここ数カ月で減少していた。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の関係者らは、空売り禁止措置が10月2日の期限より少なくとも数週間は延長されるもよう、と述べた。
当局が空売りをより注意深く監視するべきではない、と言いたいのではない。マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院のモザファー・カーン氏とトロント大学のハイ・ルー氏の研究論文は、企業の内部者から大口の売り注文が入る直前に、空売りが大きく膨らむ証拠を発見した。このことは、証券会社が企業幹部の先を行っているのか、あるいは、売り注文が執行される前にその情報が空売り筋に漏れていることを示唆する。
ワコビアの終えんは、住宅ローン市場にかかわる企業の長年の失策を、空売りのせいにしてきたことが誤りだったことを示す、もう1つの裏付けとなる。
(9月30日付のHeard On The Streetより)
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