米金融安定化策、韓国の通貨危機対策と共通点
米政府が金融不安解消に向け成立を目指した金融安定化法案が29日(韓国時間30日未明)、下院で否決された。ブッシュ政権が想定していた支援策は、金融機関に7000億ドル(約73兆円)の資金を投入するものだったが、資金の調達方法、使途、資金回収方式などはアジア通貨危機当時の韓国と共通点が多かった。
金融委員会によると、韓国は通貨危機当時の1997年11月から今年3月までに総額168兆5000億ウォン(約14兆7600億円)の公的資金を投入し、うち90兆7000億ウォン(約7兆7700億円)を回収した。米国の公的資金投入規模は韓国をはるかに上回る規模で、今後2年間に集中的に投入される計画だった。
米国は公的資金を主に国債発行で調達するとしていた。韓国も大半を国債発行で賄った。また、国債発行には議会の事前承認を受けなければならないことも共通点だ。
公的資金の使途も似通っている。韓国では銀行、証券、保険、ノンバンクなど破たん金融機関の不良債権を買い入れたり、金融機関の預金払い戻しを肩代わりするのに充てられた。米国は破たん金融機関の不良債権借り入れに主に使われる。米国が預金の支払い代行に公的資金を使うかどうかははっきりしていなかった。しかし、資金投入対象に年金ファンドや地方自治体が含まれていた点は韓国と異なる。
さらに、米国の政治家は韓国よりも破破たん金融機関の経営陣によるモラルハザードを強く警戒し、納税者の利益に配慮している点も異なる。例えば、公的資金投入を受けた金融機関の最高経営責任者(CEO)が多額の退職金と賞与を受け取れないようにする報酬規定を厳格化した。また、金融機関から住宅担保ローンを借り入れた顧客の返済負担を軽減するため、債務調整を進める規定も盛り込んだ。公的資金が無駄遣いされないように、内訳を会計検査院が監視する形にした点も韓国より徹底していた。
韓国は公的資金投入という事態を招いた責任を追及するため、検察が金融界や企業経営者に対する捜査を行い、責任者の刑事的、民事的責任を問うた。米国は責任追及にはまだ言及していないが、1980年代後半の不動産バブル崩壊に伴うS&L(貯蓄貸付組合)の破たんと同様に、刑事面と民事面で責任追及が進むとみられる。
韓国開発研究院(KDI)の金炫旭(キム・ヒョンウク)研究委員は「両国の公的資金投入方式が似ているのは、韓国が通貨危機克服の際に米国の過去の不良債権処理方式をモデルにしたためだ」と説明した。
金起勲(キム・ギフン)記者
鄭恵全(チョン・ヘジョン)記者
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