米粉加工販売会社「三笠フーズ」の汚染米転売事件で、流通ルートに飲食料品卸最大手の商社「国分」(東京)が含まれていたにもかかわらず、農林水産省が同社を調査していなかったことが27日、分かった。
農水省の調査責任者は「(国分に売った)伝票が残っていたのに調査していなかった。ミスだった」と陳謝、再調査して公表する方針。農水省による流通先の調査・公表をめぐっては、事実関係の訂正が相次いだが、調査漏れが発覚したのは初めて。対応のずさんさが改めて問われそうだ。
国分によると、同社は汚染米と知らされずに今年1〜2月、三笠フーズのグループ会社で警察の強制捜査を受けた「辰之巳」(東京)から、ベトナム産の米を購入し、熊本県の酒造会社「六調子酒造」に9トンを、「抜群酒造」に7・2トンをそれぞれ売却した。
辰之巳から販売先への仲介を依頼されたといい、国分は米を帳簿上で売買し、1キロ当たり数円の利ざやを得ていた。米は直接、辰之巳から酒造2社に運ばれたという。
農水省は情報提供を受け、8月末から三笠フーズと辰之巳を調査。両社に残っていた伝票を基に流通先を割り出し、追跡調査を始めた。その過程で、辰之巳の伝票に、販売先として国分の社名があったことが判明。農水省は国分から汚染米を買った酒造2社を先に調査し、両社の焼酎の材料に使われていたことを確認した。しかしその後も国分の調査はしなかった。
農水省の調査責任者は「汚染米の最終的な使途が分かったため、国分の調査を失念してしまっていた」としている。
国分によると、汚染米は酒造2社以外には売っていないという。
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