- Vol.89
- 大スターのきざし!?それはスキン・・・・・・。
世の中には、ありとあらゆる初体験というものが存在することだろう。『初めてのおつかい』なら、なんとも初初しい光景で例えば5歳のお兄ちゃんが3歳の妹の手を握り、幼いながら兄としての威厳を見せようとする、そのけなげさに思わず感動さえ憶えたり・・・。そして、『ファーストキス』なんてことになると、これはもう青春の淡き思い、何故かほのかに香るシャンプーの記憶を、いつまでも胸の奥に秘めておいたりとか・・・・・・しかし、これが、『初めてのスキンヘッド』となると少々、いや大幅に話が違ってくるのだ。
まず、おつかいのように感動を憶える者は皆無だろうし、ファーストキスの様に胸の奥に秘めることなど一切出来ず「あ、あいつスキンヘッドだ!!」「ちょっと、ちょっと!ハゲよ、ハゲ!!」という周囲の視線が、頭皮にビシビシと突き刺さってくるのを感じるのだ。
いや、その前に断っておくが、スキンヘッドとハゲは、すご~く近いけど真実的には納豆と甘納豆くらいに違うものなのです。
まあ、そんな前置きはさておき、俺ついにこの世に生を受けて間もなく50年、ついに『初めてのスキンヘッド』になっちゃいました。
何故? どーして? 何ゆえに? と行く先々で同じ質問をされるのにあき「いや、汚染米の三笠フーズの責任をとらせていただきました(三笠フーズと一切無関係だけど)」とか「度重なる日本相撲協会を代表しての謝罪の意味で・・・(何で俺が代表してんのかも不明だけど)」と返答していたのだけど、それもかなり面倒くさくなってしまっているのだ。
で、一応本当の理由を述べておくと、報道ドキュメンタリ・ドラマ、ザ・決断!スペシャル『八重山商工野球部物語』~熱血監督と少年たちの‘奇跡のドラマ’~(9月29日テレビ東京系で本日O.A.)の主役、そう監督の役ということなのです。
最初にこの話がきた時の条件が「髪を短くして欲しい」であった。それに対し俺は叫んだ「イヤだ!!短くなんて・・・・・・剃らしてくれ!!ツルツルじゃなきゃダメ!!」と・・・。(勿論、向こうは2つ返事でOKしました)
お前はおバカ? いいえ、かつてロバート・デニーロは『タクシードライバー』で、そして北野武は『戦場のメリークリスマス』で、ね、ね、大スターは過去に頭剃ってるでしょ!! よーし、俺もいよいよスターの仲間入りが近づいてきたぞオ、ピカッ!!
ダンカン
- 1959(昭和34)年、埼玉県生まれ。落語家を志し、立川流に入門するも、その後TVの世界へ。ビートたけしの下で、たけし軍団の一員として活躍する。タレントとしての活躍に加えて、’98年には映画「生きない」で脚本・主演。’05年「七人の弔」では監督にも挑戦し、高い評価を得る。ほか、執筆や構成作家としても活躍中。大の阪神タイガースファンとしても知られている。
公式HP http://www008.upp.so-net.ne.jp/dankan/