与野党の議会幹部が合意していながら、金融安定化法案はなぜ否決されたのか。混乱の背景には、改選を控えた議員心理に加え、米議会の構造的な要因も働いている。
二大政党制で様々な人種、支持層を包含する米議会では、個々の議員の判断と意見を尊重するという原則から、政党の規律は緩い。個々の法案などに大まかな対処方針は示すが、処罰を伴うような「党議拘束」の慣習はない。党決定に反する行動をとると党規違反で処罰対象となる日本の国会議員とは異なっている。
米国では逆に、議員の「投票履歴」は有権者にとっての重要な評価基準にもなる。特に、細かい小選挙区で支持を集めて当選してきた下院議員の場合は地元の声を反映した投票行動をとる傾向が顕著で、そこに下院の11月4日改選という日程が絡んだのが今回の構図だった。
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