ここから本文エリア 自民党 党員激減募る危機感2008年09月30日
えひめの政党力【上】 ◇5年で4割減「地元の声届かず」不満も 「安倍が逃げ 福田も投げて 次はだれ」 「自民党に政権担当する資格なし」 ――。自民党総裁選の予備選が21日、松山市内で開票されると、県連幹部が苦渋の表情を浮かべた。候補者の名前が書かれた投票はがきの中に、党を厳しく批判した言葉が並ぶ無効票が交じっていたからだ。幹部は「無効票は昨年の総裁選でも見られたが、今年の方が多い。総選挙は厳しい戦いになる」 と話した。 ●支持者離れ 自民党の支持基盤が揺らいでいる。県内の党員数は02年度に約6万2千人だったが、07年度は約3万7千人。この5年で4割も減った。 背景には「平成の大合併」 に伴う市町の議員数の減少のほか、道路予算を中心とする公共工事の削減、郵政民営化など一連の構造改革に伴う支持者離れがある。 県内では、03年に新居浜市に別子山村が合併したのを皮切りに、これまでに68市町村が18市町に合併した。この18市町で合併前後の議員定数を比べると、1092から466に半減。県内の自民党員の市町村議の数も02年は941人いたが、07年には325人と約3分の1に落ち込んだ。 04年に誕生した愛南町では、合併前の旧5町村の議員定数は計76だったが、現在は24に減少。自民議員も合併前の70人から、現在は19人に激減した。定数は来年4月、さらに減って20になる予定だ。 議員を中心とした組織力も低下し、町内の党員数は05年度が1007人だったが、07年度は588人に減った。旧町村ごとに五つあった党支部は、07年に1支部に統合されている。 党愛南支部長の土居尚行町議は「支部同士が合併しないと、存続自体が難しくなった。地元議員が少ないと、国政選挙の候補者がミニ集会を開く際の人集めすら難しくなる」 と話した。 県内の建設業者の党員数は02年度に8585人だったが、07年度には4472人にほぼ半減した。公共工事が減り、建設業者の多くは自分の仕事で精いっぱいで、党務まで手が回らないという。 かつては自民の集票に力を発揮した特定郵便局長OBらでつくる党職域支部の「大樹」 も04年度には2057人の党員がいたが、07年度は50人に激減。05年の郵政解散をきっかけに、多くが自民党支持から離れた。 ●車座ミーティング 7月に宇和島市内で開かれた党県連と南予8支部の幹部会議では、「党員の声が国政に届いていない」 「党員になってもメリットがない」 といった不満の声が、支部役員から相次いだ。 党員・党友になれば、総裁選の予備選に投票できる。県連は今回の総裁選で、福田首相辞任表明の2日後に予備選の実施を決めた。しかし、総裁選の本選は国会議員が1人1票なのに対し、県内の党員・党友は約3万7500人で3票しか割り当てがない。「党員の1票はあまりに軽すぎる」 と憤る声が県連幹部からも上がっている。 県連は今後、国政選挙で公認候補を決める際にも、党員・党友による予備選を実施することを検討している。 篠原実幹事長は「予備選をやれば、党員の党への参加意識は格段に高まる。だが、立候補するのに必要な支持党員数を決めたり、候補者の立会演説会を開催したりと、予備選を実現するには、やらなけばならないことがたくさんある」 と話す。 次期衆院選に現職が立候補しない考えを表明した愛媛3区で、県連は、予備選の実施も視野に新たな候補者選びを進めているが、衆院解散が近づく中、予備選の実現は難しそうだ。 党員を増やすため、県連の組織対策本部は今月から、当選1、2回の県議が中心になり、県内全域で地域の声を聞く「車座ミーティング」 を始めた。党員に限らず誰でも参加できる。 同本部長の岡田志朗県議は「議員が地域の声に耳を傾けるという原点を強化し、無党派層の獲得をめざしたい。党員数を盛り返すには、年間の党費4千円が安いと思われるような努力を、我々が地道に重ねるしかない」 と話した。 ◇ 「政権選択」をかけた総選挙が近づく中、県内の政党の組織力はどうなっているのか。3回に分けて報告する。
マイタウン愛媛
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