神奈川県警神奈川署が痴漢行為の疑いで現行犯逮捕した容疑者について「川崎警察署協議会」委員であることを伏せて発表していたことが30日分かった。同協議会は警察不祥事をきっかけに全国で警察署ごとに設置された組織で、委員は公安委員会の委嘱を受けている。神奈川署は「病院事務員」としか発表していなかった。
県迷惑行為防止条例違反(痴漢行為)容疑で逮捕されたのは、東京都町田市に住む男(45)。調べでは、26日午前8時20分ごろ、JR横浜線を走行中の下り普通電車内で、前に立っていた同市内の女性会社員の下半身を左手で触った疑い。女性が男の手を押さえ、東神奈川駅で駅員を通じ110番した。
神奈川署は事件から約7時間後の26日午後3時半ごろ、男の住所や名前、逮捕容疑を発表したが、職業や肩書は「団体職員」とし、毎日新聞の取材にも「病院事務員」としか明らかにしなかった。
男は「電車が込んでいて揺れて当たった」と容疑を否認しているという。神奈川署の串田寛副署長は「容疑者が否認しており、事実関係がはっきりしないので最低限必要な広報にとどまった」と説明している。
警察署協議会は、神奈川県警などの一連の不祥事を受け、地域住民の意見を警察活動に反映させるため01年から全国の警察署に設置された。署長が委員候補者に関する参考資料を公安委員会に提出し、公安委が委嘱することになっている。【鈴木一生、池田知広】
毎日新聞 2008年9月30日 15時00分