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【社会】

別世界 『麻生御殿』 渋谷一等地 高台の洋館

2008年9月29日 14時00分

広大な敷地に洋館が立つ麻生太郎首相の自宅=26日、東京都渋谷区で、本社ヘリ「あさづる」から

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 麻生太郎首相の誕生で、どうしても気になるのが、連日のようにテレビで映し出される豪華な自宅だ。皇族とも縁戚(えんせき)関係を持つ超セレブであることは分かっていても、「麻生御殿」の威容には圧倒される。中山成彬前国土交通相の辞任で早くも政局が揺れる中、周辺をルポしてみた。 (小川慎一)

 麻生邸がある渋谷区神山(かみやま)町は、南側に接する松濤(しょうとう)とならぶ都内きっての高級住宅街だ。その中でも高台のてっぺんにある麻生邸は約二千四百平方メートルの広大な敷地に木造三階建ての洋館がそびえ、ひときわ威容を誇る。

 近くの不動産業者は「渋谷の地価は下がったとはいえ、あのあたりは一坪(三・三平方メートル)当たり八百万円ぐらい」という。実勢価格では、土地だけで五十億円を超える計算だ。もともとは隣接する弟の「麻生」社長泰(ゆたか)氏の土地と合わせ五千平方メートルを超える大豪邸だった。

 麻生邸前の通りには、ほぼ百メートルおきに警察官が配置される警戒ぶり。記者が麻生邸前に到着すると、早速、五、六人の警察官に囲まれ、社名や連絡先、取材目的から取材時間までこと細かに聴取された。

 坂道を下って、近くの商店街へ。精肉店を営む男性(64)は「太郎さんの父親の麻生太賀吉さんが生きていたころは、最高級の肉を届けていたもんだ」と振り返る。店主によると、当時は麻生邸にお手伝いさんやコックがいて、フランス料理のフルコースを作ることもあったそうだ。

 「ローストビーフを焼いて、宮家や財界の人らがパーティーをやっていたよ。軽井沢の別荘に行くからと、大量に注文を受けたこともあった」

 だが太賀吉氏の死後は「あまり注文もなくなった」と店主は寂しそう。「太郎さんは選挙区が渋谷じゃないし、総理大臣になってもあまりピンとこない。警察官が増えたから、バイクで配達しても中身をチェックされるのかなあ」と笑う。

 理髪店を営む男性は「(麻生首相の祖父の)吉田茂元首相が娘や孫に会いに来るときは通りが通行止めになり、パトカーが先導した。もともと高台の人たちは商店街には縁のない人たち」と話す。

 二十九日午後、麻生首相は衆参両院の本会議で所信表明演説を行うが、わずか五日間で国交相が問題発言の責任を取り辞任し、国会は波乱含み。麻生邸近くに住む主婦(54)は「大臣が失言で辞めるなんて幸先が悪い。総理自身も失言が多い方だから、政権が終わるときには『失言内閣』とか言われたりしてね。早く選挙をしてほしいですよ」と話す。

 通学途中だった渋谷区の男子大学生(21)は「麻生邸が渋谷の高級住宅地にあるなんて知らなかった。漫画も財布を気にせずに買えるんだろうなあ。うらやましい」と笑っていた。

(東京新聞)

 

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