米下院が最大7000億ドル(約75兆円)の金融安定化法案を否決し、日本でも株価が大幅に下落したのを受け、自民、公明両党は30日、臨時国会で平成20年度補正予算案を成立させることで一致した。公明党は予算審議に慎重だったが、金融危機の深刻化を受け、未成立のまま衆院解散・総選挙に打って出ることは得策ではないと判断した。10月3日の衆院解散が濃厚になっていたが、これにより、解散時期は補正予算成立後に先送りされる方向となった。
与党は30日午前、国会内で、幹事長・国対委員長会談を開いた。自民党の細田博之幹事長が補正予算成立に向けた協力を要請したのに対し、公明党の北側一雄幹事長も了承した。また、両党は金融対策に関するプロジェクトチームを設置することを確認した。
会談後、自民党幹部は「国際金融危機を受け、何もしないで衆院解散という状況ではない。民主党が主張する衆院2日、参院2日という予算審議日程を信用するしかない」と語り、補正予算案成立に強い意欲を示した。細田氏も30日午前の記者会見で経済情勢について「一刻の猶予も許されない。党利党略的な議論で、いつ解散したらわが党が有利だとかを考えるべきではない」と語った。
30日午前の自民党総務会でもメンバーから「危機的状況にあり、ここで日本が権力の空白を生んではいけない。解散は当面やらないというメッセージを発するべきだ」(加藤紘一元幹事長)、「日本がどう責任を果たすべきかを立ち止まって考えるべきだ」(津島雄二党税制調査会長)など、衆院解散に対する慎重論が相次いだ。
自民党の大島理森国対委員長はこれに先立つ国対正副委員長会議で「補正予算案は断固成立させるという決意で進みたい。首相の思いを実現させ、参院も同じ気持ちで対処してほしい」と述べた。麻生首相は29日夜、「国民にとって景気は深刻だ。補正予算案をきちんと上げる(成立させる)ことが必要だ」と記者団に語っていた。
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