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米下院、金融法案を否決

2008年9月30日10時28分

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 【ワシントン=西崎香】米議会下院は29日、最大7千億ドル(約75兆円)の公的資金で金融機関の不良資産を買い取ることを柱とする金融安定化法案を否決した。米議会は法案修正に向けて再審議に入る見通しだが、国民負担増を嫌う共和、民主両党の議員の反発は予想外に強く、修正と可決・成立への見通しは立っていない。

 反対228票に対して賛成は205票で、23票差で否決された。反対は、議会を主導する民主党議員(計235議席)が4割にのぼり、共和党(計199議席)は7割近くに達した。可決を見込んでいた民主党指導部は衝撃を受けている。今週半ば以降にも再び審議入りする考えで、共和党も協力する姿勢を示しているが、先行きは不透明だ。

 国民の間に買い取り制度への反対が根強いため、議会指導部は政権側が20日に提示した原案を大幅に修正。国民の負担増への歯止め策として(1)救済する金融機関への政府の影響力を増し、経営陣の過剰な報酬を抑制(2)将来株式を取得する権利も得て、業績回復時に売却益を国庫に計上(3)買い取り制度を運営する財務省への監視強化、などを盛り込んだが、可決できなかった。

 議会多数派の民主党は、全議員が賛成すれば単独で可決できるが、11月に迫った大統領・議会選で不利にならないよう、共和党の支持が必要としている。共和党はブッシュ政権を支える立場だが、選挙も意識して反対票を投じる議員が相次いだ。

 ブッシュ大統領は「失望した。事態を前進させるため、議会との調整を続ける」と発言。ポールソン財務長官ら経済担当や金融当局と緊急会合を開いた。同長官は、先週末から貯蓄貸付組合最大手ワシントン・ミューチュアルなど金融機関の破綻(はたん)が相次いだことを指摘し、「手持ちの政策だけでは不十分。効果がある対策を早急に実施しなければならない」と危機感を表明。買い取り制度の重要性を強調した。

 政権側は議会指導部と修正案の検討を開始した。共和党が求めてきた国民負担の軽減策などを盛り込む方向だが、再調整は難航が必至だ。

 買い取り制度は、価格が大きく落ちた住宅ローン債権やその関連の金融商品などを、政府が最大7千億ドルまで買い取る計画。金融機関の経営不安の原因になっている不良資産を政府が肩代わりし、身軽にして業績の回復と市場の正常化を目指す。

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