東京都渋谷区の自宅で２００６年、短大生の妹を殺害、遺体を切断したとして殺人と死体損壊の罪に問われ、１審では殺人罪のみで懲役７年（求刑懲役１７年）とされた元歯学予備校生、武藤勇貴被告（２３）の控訴審初公判が３０日、東京高裁（阿部文洋裁判長）で開かれた。

　弁護側は「殺害時も心神喪失状態だった」として、あらためて殺人罪の無罪を主張した。

　１審東京地裁は「多重人格による心神喪失」を理由に死体損壊を無罪とする極めて異例の判断をしており、高裁の審理でも責任能力の有無が最大の争点となる。

　武藤被告は０６年１２月、妹で短大生の亜澄さん＝当時（２０）＝の頭などを殴り、タオルで首を絞め浴槽に沈めて殺害し、包丁などで遺体を切断したとして起訴された。

　１審では、東京女子大大学院の牛島定信教授が精神鑑定で「殺害時は責任能力が著しく衰えていた。切断の際は別人格が現れて心神喪失状態だった」と指摘。