県内で新型インフルエンザなどの感染症が発生した場合に備え、県と東北大大学院医学系研究科、東北大病院の3者が29日、「感染症対策の支援に関する協定」を締結した。感染症全般について都道府県と医療機関が協定を結ぶのは全国初という。感染症が発生した際に大学側が治療や医師派遣を行うことが盛り込まれた。
県は05年12月、新型インフルエンザの対応行動計画を策定。県内で大規模に発生した場合、県民の4人に1人が感染し、最大で約47万人が医療機関を受診、3155人が死亡すると推計している。
計画では、流行前から大流行まで段階別に薬の備蓄や診察態勢などを定めており、県は現在、計19万6000人分の抗ウイルス薬「タミフル」を備蓄し、発生時のマニュアルも作成するなどの対策を進めている。
29日締結した協定では、東北大などが▽県の対策への助言▽発生時の感染症予防▽重症患者の診断・治療▽医師の派遣--など9点について協力することを定めた。
調印した医学系研究科の山本雅之科長は「近年、SARS(重症急性呼吸器症候群)などの感染症が発生しており、今後の大きな脅威として、新型インフルエンザの爆発的流行が考えられる。県と協力し、専門知識を提供したい」と話した。【伊藤絵理子】
毎日新聞 2008年9月30日 地方版