山梨県教職員組合(山教組)が輿石東参院議員(民主党)を支援するため政治団体を通じて選挙資金を集めていた問題で、県教委は二十七日、調査結果を発表、教育公務員特例法に違反する疑いがあるとして、関与した校長、教頭ら十五人を訓告処分とし、山教組の秋山俊一委員長、堀内一義重書記長、浅川護・県公立小中学校校長会会長、望月真・県公立小中学校教頭会会長の四人を厳重注意処分とした。
しかし、県教委は数千万円が集められ、昨年の政治資金収支報告書に記載されていないカンパの使途などは調査せず、「山教組の組織的な関与は明らかでない」と断定。
対象者の氏名を教育委員やマスコミに明らかにしないなど、不十分な点が目立った。
先月末に山梨県を訪れた与党調査チーム代表の宮路和明自民党副幹事長は「体面を取り繕う程度の処分だ。県教委は調査義務を放棄したといえる。
告発が必要との思いを強くした」と述べ、年明けの刑事告発に強い意欲を示した。
調査では、カンパの事実は確認されたが、山梨県民主教育政治連盟が七月の参院選に向けて組織的に行った輿石氏の後援会入会カード集めに関しては「一つの郡以外、文書での要請を確認できなかった」とした。組合を動員した電話作戦についても「事実は確認できなかった」と結論付けた。
【一言】
山梨県といえば、県教委、校長会、教頭会、山教組、PTAがいわゆる5者協議会を作って一体的な動きをとっていることで有名である。
「和を以(もっ)て貴(とうと)しと為(す)。忤(さか)うること無きを宗(むね)と為」(日本書紀・憲法17条)を持ち出すまでもなく
昔から、和を尊ぶのが美徳といわれてきた。
今回はそれが悪いほうに使われている。
対象者の名前を公開しない事が、教育関係の不祥事で行われている。
情報公開の時代を認識していないようである。
また、今回の処分内容が教育委員にも知らせないとはどういうことだろう。
教育委員会とは名ばかりで、教育長の独断で議事が進められている典型である。
もっとも、教育委員の中には、最初から首をかしげる人も多いことも事実である。
選挙の論功行賞で教育委員に指名される人も少なくないのが現状である。
「和を以(もっ)て貴(とうと)しと為(す)」に続いて、「人皆党あり、亦(ま)た達(さと)る者少なし」と示されている。
和を壊す原因は、利害で結ばれた党であり、そのため本当の和合を貴ぶことができない、と指摘されているのだ。
組織外の人を排斥するような、また他の組織を拒絶するような、そうした排他的な組織では内部に対しても和は保たれない。
そこにうごめくのは単なる統制であり、馴れ合いで、隠蔽が行われれば悪は拡大し横行する。そうした組織では個人の主体は踏みにじられるしかない。
山梨の教育界はまさに茲に言うなれあい体質が蔓延しているようである。
教育公務員は政治的な中立を求められている。
今回の処分は教育公務員の政治的な中立を定めた教育公務員特例法に違反する疑いだが
この事件は、入り口であって 政治資金規正法違反が本命である。
どこまで発展するかわからない。
PTAが関与してしていないか心配である。
今回の事件は、お互いの組織が良い意味で牽制組織になっていないところに問題がある。
「君子は和して同ぜず。小人は同じて和せず。」、論語の言葉で ある。
「世に有用な人物は、他人と協調はするが、むやみに他人の説に 従うことはない。つまらない人物はむやみに他人の説に従うが、
他人と協調することはない、という意味である。
PTAなども、本当は「和して同ぜずで」ありたいのだが、どうしても「和して同じて」になってしまう傾向にある。
表彰状なども日P会長よりも、文部大臣表彰の方をありがたがってしまう。
この辺から気をつけて行かないと、言いたいことも言わないで、役人の言いなりになってしまう。
PTAの役員になったら、そうのような栄誉から離れるぐらいにしないと道を誤ることにことになる。
(平成17年12月28日)