浅口市中心部にある歴史公園「かもがた町家公園」が今年、開園十年を迎えるのを機に、本紙笠岡・井原圏版で二十六日から三日間にわたって連載企画を掲載しました。記事では、開園の経緯や文化財的価値▽公園が持つ生涯学習拠点としての機能▽今後の管理運営に向けての課題―などを盛り込み、そこで活動する人々の思いも含めて紹介。その中であらためて感心したのが、管理運営のユニークさでした。
公園の中核施設「伝承館」(県重文、旧高戸家本宅)は十七世紀初頭に建てられた、店舗と住居が併存する町家としては岡山県内最古。国重文の大橋家住宅(倉敷市)など県内に残る他の町家建築の原型ともいわれています。
私が訪ねたときは井上紀幸さんというボランティアの方が丁寧な説明で、落ちついたたたずまいの館内を案内してくれました。園内には地元特産のそうめんが食べられる「交流館」やギャラリー「ふれあいの館」などもあります。公民館的な機能も備え、詩吟や書道、俳句など四十ほどのグループが施設を利用していると聞きました。
公園は市の施設ですが運営主体は市民です。ボランティア組織の管理組合のメンバー約百人が文化、食堂、案内、管理の四部門に分かれ、役割分担。まさに、地域に支えられ、地域の文化活動を支える公園といえます。ただ、十年を経てメンバーの高齢化が進み、次代への継承が課題だそうです。
いつまでも市民による、市民のための公園であってほしいと願います。
(笠岡支社・河本春男)