茨城県つくば市が小中学校に設置した小型の風力発電機が計画通りに発電しなかったとして、同市が計画を策定した早稲田大と風車を製造した大阪市のメーカーに約3億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。荒井勉裁判長(萩原秀紀裁判長代読)は、早大に約2億円の支払いを命じた。メーカーへの訴えは退けた。
裁判では、(1)早大側は、同市との業務委託契約に従って適切な計画を策定したか(2)市側は、風力発電事業が実現不可能と事前に認識していたか−などが主な争点。早大側は「市から事業目的など具体的な説明を受けていなかった」と反論していた。
荒井裁判長は、早大について、「期待される発電量が得られないことや、風力発電機の消費電力が発電量を大幅に上回ることを知りながら、市に説明しなかったことは契約上の義務を怠ったことに当たる」と指摘し、賠償責任を認めた。
一方、市側についても「担当者は事業が実現不可能と知らなかった」としながらも、「慎重な検討を迫られる材料がそろっていたにもかかわらず、早大側の調査結果をうのみにした」と落ち度を認め、賠償額を3割減額した。
判決によると、同市は平成17年、早大の策定した計画をもとに、市内の小中学校19校に風車23基を設置。しかし、実際にはほとんどの風車が回らず、予定の4分の1ほどの発電量しか得られなかった。設置費用のうち約1億8500万円は環境省の交付金で、同市は18年、全額返還を命じられた。
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