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<厚生年金>社保庁が指導文書…標準報酬月額未提出の会社 

9月30日2時31分配信 毎日新聞


 厚生年金の支給額算定の基礎となる標準報酬月額(月収にほぼ相当)のデータを提出しない会社があった場合に、社会保険庁が全国の社会保険事務所に対し、過去のデータを流用し書類上のつじつまを合わせるよう指導していたことが、毎日新聞が入手した内部文書で分かった。低額のデータが使われれば将来の年金額が減る可能性がある。改ざん問題に続き、社保庁のずさんな記録管理が明らかになった。

 標準報酬月額の記録は、各会社が毎年7月に提出する義務がある「算定基礎届」を基に管理することになっている。

 問題の内部文書は社保庁医療保険課長名で04年9月28日付。「算定基礎届の未提出者の取り扱いについて」と題し、「会社と連絡がとれない場合や何らかの理由で届け出が行えない場合は、従前の標準報酬月額を本年度のものとみなす」と明記されている。

 中小企業を中心に、算定基礎届の提出を怠る会社が少なくないことに対する便宜的な措置だが、恒常化しているとの証言もあり、放置すれば年金記録の空洞化に拍車がかかる。

 同文書には、算定基礎届の未提出企業に対する指導強化も促し、「(流用の旨は)必ず会社に通知する」「算定基礎届が提出された場合は、従前の標準報酬月額記録を取り消す」とも書かれている。しかし、宙に浮く5000万件の記録問題の対応などに追われる中、過去データの流用が広がっているという。

 流用の規模など実態は明らかではないが、社保庁幹部は「人手不足で流用の通知などを行うことはまれ。過去の標準報酬月額が低額なら企業の保険料負担も減り、会社側にも提出に応じないメリットが生まれる」と証言している。

 社保庁適用・徴収対策室の話 全国でどの程度、過去データを流用しているのか把握できておらず、コメントできない。ただ、過去データが修正されずそのまま放置されているとすれば大問題だ。【中西拓司】

 解説 政府が対応し、全容解明急げ

 「流用は不適切だとは思う。ただ、そうしないとコンピューター上で年金額の計算ができない。受給額が減る恐れもあるが、痛しかゆしだ」。厚生年金の標準報酬月額の過去データ流用を証言した東京都の社会保険事務所職員はこう話した。

 社会保険庁が流用の内部文書を出した04年は、年金の未納問題が表面化し混乱が始まった時期に符合する。データ流用はそれ以前からあったとされ、文書は現場にお墨付きを与えるものとなった。

 そこに、5000万件問題が追い打ちをかける。算定基礎届の未提出企業への指導まで手が回らず、流用は広範囲で行われている可能性が高い。

 流用は会社側にも問題があるが、社保庁が自ら、年金記録の空洞化に手を貸している意味は小さくない。

 社保庁は来年中に、標準報酬を記載した通知を送り始める方針だが、給与明細など手がかりが必要で、決定打とは言えない。

 改ざん問題では、懲戒を恐れ口を閉ざす職員が相次いだ。政府は対応を社保庁任せにせず、全容解明を急ぐ必要がある。【中西拓司】

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最終更新:9月30日2時31分

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