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大学に男子禁制「化粧室」 学生獲得へ次々設置

2008年9月29日19時8分

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写真大学の一角にあるパウダールームで化粧をする学生たち=大阪府松原市の阪南大学、伊ケ崎忍撮影

 女性が化粧や身だしなみを整えるための「パウダールーム」を設ける大学が増えている。少子化に伴う全入時代を控え、魅力的な施設整備で、女子学生を引きつけようという大学の思惑がにじむ。

 阪南大学(大阪府松原市)の南キャンパス。1階の玄関近くにその部屋はある。入り口には「Ladies only」とのプレート。室内は45平方メートルと広々していて、縦65センチ、横55センチの鏡が9面とイスが9脚並ぶ。上側にはライトが埋め込まれ、計15人分のソファ、観葉植物もあり、まるでテレビ局の楽屋だ。

 国際コミュニケーション学部1年の林亜弥奈さん(18)は、1日に数回利用する。短くて10分、長い時は1時間以上も。「トイレの鏡は化粧直しの途中でも譲るのがマナーで慌ただしい。ここなら座ってゆっくり化粧できる」と話す。

 できたのは07年夏。応接室を改修した。女子学生におおむね好評だが、批判的な見方もある。同学部3年の女子学生(21)は「大学がお化粧を勧めているみたい。リップ程度ならトイレで十分。お金をかけるなら、食堂のイスを増やすとかしてほしい」。

 学生部長を務める谷口廣之教授は、「勉強の意欲を高めるためには、楽しく気軽に来られる雰囲気づくりが必要。昔と同じイメージでは駄目」と強調する。

 92年に設置し、「先駆け」を自任する名古屋文化短期大学(名古屋市)。山田健市学長が発案し、鏡9面とイス6脚、それぞれのテーブル下には、ヘアドライヤーまで置く手の込みようだ。

 波は国立大にも及ぶ。山形大学は今年4月、図書館のトイレの一角に設けた。通常の手洗い場の隣に、姿見2枚と小さな台を付け、ゆっくり身だしなみが整えられる。「快適な環境が、学習や研究意欲の向上につながってほしい」と担当者。

 大学経営に詳しい山本真一・広島大学高等教育研究開発センター長の話 生き残りをかける、大学側の事情はわかる。しかし、大学は研究や学びの場。学術施設の充実にまずは力を入れるべきではないか。大学が急速に大衆化した70〜80年代の「第1次レジャーランド化」に続き、全入時代を控え、「第2次レジャーランド化」が進んでいることの表れだ。(高島靖賢)

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