1人で車を運転していると、急に頭痛がして片方の手と足が麻痺(まひ)してきました。あなたなら、どうしますか?
3人の意見が分かれました。Aさんは「運転して最寄りの病院に駆け込む」、Bさんは「安全な場所に停車して手持ちの鎮痛薬を飲んで仮眠を取る」、Cさんは「安全な場所に停車し、通行人に頼んで救急車を呼ぶ」。さて、3人の運命は?
これは脳卒中、特に高血圧性脳出血が疑われます。脳の穿通枝(せんつうし)という直径0・3ミリ以下の動脈が急に破れて、脳組織の一部が破壊される怖い病気です。
症状は突然の頭痛と、片側の手足の麻痺だけの場合もあります。しかし出血の部位と大きさによっては、意識が遠のいて会話や呼吸もしにくくなり、死に至る場合もあります。最初の数十分間で急激に症状が進行することもありますから、医師を含む医療チームと一刻も早く接触して、適切な治療を受ける必要があります。そのため病院側も、救急隊からの連絡に応じてドクターヘリやカーで出動する準備を整えています。
治療は、血腫の部位や大きさ、その症状によって手術を行うこともあります。しかし残念ながら、手術で血腫を取り除いても麻痺や失語はほとんど回復しません。むしろ脳に傷をつけることで症状を悪くしてしまう危険性もあります。治療は予防以外にないのです。
高血圧性脳出血を予防する上で特に重要な点は、主に血圧管理と禁煙です。一度、高血圧を疑われた人は定期的に専門家の指導を受けてください。高血圧症と診断されれば、早めに内服を開始して必要量まで増量し、継続することが必要です。この点では、血圧調節はプロスポーツと似ています。練習(内服)しているという事実よりも、結果(降圧剤を増やしてでも適当な値まで血圧を下げて病気を防ぐこと)に意味があるからです。
喫煙は主流煙、副流煙ともに血管を壊しますから、言うまでもなく脳の血管に対しても「悪」でしかありません。まず自分が禁煙し、周囲にも禁煙を広めていくことをお勧めします。
さて、筆頭のAさんは麻痺で運転を誤り、交通事故を起こしました。Bさんは1時間後に症状が悪化し、車内で意識不明の状態で発見されました。Cさんは通行人や救急隊員のおかげで迅速かつ安全に病院に搬送され、治療ののち社会復帰ができました。
Cさんが一番安全ですね。そこで一句。「まず予防、ダメなら呼ぼう、救急車」。
(伊地知寿、北部地区医師会病院)
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