「成田空港闘争はごね得」「日本は内向きな単一民族」「日本の教育のがんが日教組」‐。失言を連発した中山成彬国交相が28日、在任わずか5日で辞任した。理由は「国会審議に支障があるとすれば本意ではない」。国民への謝罪を明確にすることなく、この日も日教組を敵視する持論をまくし立てた。政府内に「まるで自爆テロ」と嘆息が漏れる中、「国民本位」を掲げる麻生太郎内閣から退場した。
麻生首相に辞表を提出後、国土交通省で記者会見した中山氏。冒頭、一連の発言に関し「『よく言ってくれた』『頑張れ』と山のようなメール、電話が鳴り続けている」と強調。騒ぎの責任については「不快な思いを与えた方々にはこの前も陳謝した」「大分県を名指ししたことについては申し訳なかった」などと切り上げ、政権や総選挙への影響を「そのことが一番心配」と述べた。
「成田」「単一民族」発言は撤回したとしながらも、日教組に関しては「政治家中山成彬としては撤回したという考えはない」と言い放ち、1時間近く「ごく一部の過激分子が政治的に子どもたちを駄目にして、日本を駄目にしようと活動している」などと持論を展開。自民党有志による「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」会長として、「自虐史観」批判を展開してきたことでも知られるだけに、前日の発言も含め「確信的にあえて申し上げた」と胸を張った。
ただ、この日も発言は脱線気味。日教組は解体すべきだとしながらも「組織として駄目というんじゃなくて、問題はごく一部。そういうのを切り離さないと」。労組の問題点に触れる中で突然、大阪府政に言及。「長年、トップと職員組合が癒着し、財政破たんにひんしている。民主党が政権をとれば日教組、自治労などの支援を受けているから、日本は大阪みたいになる」と、論点は次々に拡散した。
今回の組閣では当初、行革担当相を打診され「私も役人(旧大蔵省)出身、妻(中山恭子首相補佐官)も子どもも公務員。お受けできない」と涙ながらに抗議して閣僚差し替えの混乱を招く一因ともなった中山氏。そうした経緯もあってか麻生首相からはこの日、「この種の発言は普通、官僚経験もある人はされないはず」と酷評された。
=2008/09/29付 西日本新聞朝刊=