医療介護CBニュース -キャリアブレインが送る最新の医療・介護ニュース-

CBネット |  医療介護CBニュース

話題・特集


「とんでもない勤務医がいる」―メディカルスクール構想で山崎氏

 「とんでもない勤務医の先生がいてひどい目に遭ったことが何回もある」―。医学部を卒業していない人にも医師への道を開く制度(メディカルスクール)について、日本精神科病院協会副会長の山崎學氏は9月26日に都内で開かれた会合で、「とんでもない勤務医」の存在が、「メディカルスクール」の創設を主張した動機だったと話した。医学部の定員増については、「医局体制が壊れた現在、民間病院に回ってくるドクターはそれほどいない」とした。

【関連記事】
メディカルスクール導入提言まとまらず―四病協
医学部定員増が確実な教育予算を
医学部定員増やせる教育費を―国立大学医学部長会議
「医師養成数50%増を」ビジョン会議で骨子案
医師増員、医療者はどう考える?

 メディカルスクールをめぐっては、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会の4団体で構成する「四病院団体協議会」の検討委員会が中間報告書をまとめている。

 同検討会の委員長で、サンピエール病院(群馬県高崎市)院長の山崎氏は、9月26日に東京都内で開催された日本精神科病院協会の定期代議員会で、同制度を提唱した動機について次のように語った。
 「わたしは親父に30歳で死なれた後に病院を継いで以来、病院の管理職を三十数年やっている。その間、良い勤務医の先生もいたが、とんでもない勤務医の先生がいてひどい目に遭ったことが何回もある。そういう中で、医師の教育というのは現在の教育制度でいいのかと、ずっと疑問に感じていた。18歳で、偏差値だけで、成績の優秀な人が『良いお医者さん』という前提で、医師をつくる(現在の)制度に非常に疑問があった。そこで、メディカルスクールについての検討会を始めた」

 山崎氏はまた、「現行の医学部の定員を増やしても、医局体制が壊れた現在、民間病院に回ってくるドクターはそれほどいない」と述べ、医師の地域偏在の問題を解決する必要性も主張した。「わたしは群馬県だが、例えば群馬大の学士入学は、北大や京大、九大、お茶の水女子大などから成績優秀な人が入ってくる。しかし、卒業したと同時に帰ってしまう。群馬県で教育しても帰られてしまったら意味がない。あくまでも、地元の出身者を優先する教育制度をつくっていかないと、地域医療に携わるドクターは集まらない。そこで、地域枠をつくってほしいという提案もしている」

 検討会の報告書(概要)によると、メディカルスクールは、▽生物学など所定の必須科目を履修した4年制大学の卒業生に受験資格を与え、入学試験を行う ▽米国で一般的に使われているカリキュラムに準じて、4年で基礎から臨床までを習得させる▽臨床医学の教授は、卒後研修を担当する臨床医が担当する―などとしている。

 今後について、山崎氏は「最終報告書をまとめた後、超党派の議員連盟を立ち上げ、文部科学、厚生労働の両省を中心とするメディカルスクールの公式な検討会をつくり、数年以内にこの制度ができるように頑張りたい」と話している。

 「四病院団体協議会メディカルスクール検討委員会」の委員は、山崎氏のほか、▽堺常雄氏(日本病院会副会長)▽西澤寛俊氏(全日本病院協会会長)▽日野頌三氏(日本医療法人協会副会長)―の3人。協力委員は、▽中田力氏(新潟大脳研究所統合脳機能研究センター長)▽福井次矢氏(聖路加国際病院院長)▽本田宏氏(済生会栗橋病院副院長)▽金村政輝氏(東北大病院総合診療部講師)―の4人。


更新:2008/09/29 12:59   キャリアブレイン


注目の情報

PR

CBニュースからのお知らせ

CBニュースは会員サービスの“より一層の
充実”を図るため、掲載後一定期間経過した
記事の閲覧にログインが必要となりました。

今後ともCBニュースをご愛顧いただけますよう、
よろしくお願い申し上げます。

ログイン-会員登録がお済みの方はこちら-

キャリアブレイン会員になると?

転職支援サービス

専任コンサルタントが転職活動を徹底サポート

スカウトシステム

医療機関からスカウトされる匿名メッセージ機能

医療介護ニュース

独自記者の最新の医療ニュースが手に入る!

キャリアブレインの転職支援サービスが選ばれる理由

【第30回】伊関友伸(いせき・ともとし)さん(城西大経営学部准教授) 元埼玉県庁職員で、自治体病院に勤務した経験を持つ伊関友伸さんは、自治体病院の経営問題に関して積極的な発言を続けている。「夕張問題」では市総合病院の病院経営アドバイザーなども務めた。感情論ではなく、熱い情熱と冷静な目で原因を掘り下げ ...

記事全文を読む

1人ひとり 個別の条件を大切に東京勤労者医療会「東葛(とうかつ)病院」(千葉県流山市)ママさん看護師も多数活躍 看護師の厳しい労働実態が指摘され、離職率が新卒で9.3%、全体では12.3%に達するなど、看護師の離職を避ける取り組みが看護現場の重要な課題になる中、「長く働き続けられる病院」が、千葉県流 ...

記事全文を読む

医療紛争解決に医療メディエーターを
〜北里大学病院の取り組みから〜

医療者と患者の間にトラブルが起こった場合、解決に導く対話を「医療メディエーション」といいます。今回は「医療メディエーション」に組織的に取り組んでいる病院をご紹介します。

>>医療番組はこちら


会社概要 |  プライバシーポリシー |  著作権について |  メルマガ登録・解除 |  スタッフ募集 |  広告に関するお問い合わせ