アフラトキシンのリスク査定: 「レッド・ブック」モデル教材

Aflatoxin Risk Assessment:  “Red Book” Model Exercise

Charles Yoe博士、ノートルダム大学、メリーランド

 

この翻訳は、岡本個人が国民教育の教材提供として行うものであり、一切の営利活動とは関係していない。この資料を商業的に利用される方は、「Food Safety Risk Analysis Clearinghouse」とCharles Yoe博士の許可を直接得てください。また、誤訳等があり得ることもお断りしておきます

 

No.50 このスライドは多少難しいでしょう。初心者の理解のために、縦軸と横軸を逆にしてあります。対数目盛も、戸惑うヒトがいるかも知れません。

全ロットの中で、おおよそ90%は10 μg/kg以下、75%は1 μg/kg以下です。このように、大半のトウモロコシは、FDAの汚染基準以下です。このことは、米国においてこの経路による暴露は限定的であることを示しています。これらのデータは汚染されていないロットを無視しており、このグラフにおける平均汚染濃度を引き上げています。(註:線を太くするため、原図を基に岡本が書き直した。汚染濃度は連続しており、「汚染しているもの」と「汚染していないもの」が明確に分けられるものではないことを理解してください。

No.51 我々が採り得るリスク管理の手段を理解するために、仮定上の基準によって米国で何が起きるかを考えましょう。予測されるこの結果は、前スライドに示した汚染濃度の累積度数分布を一般化したデータに基づくものである。これらは学習のための例であり、米国の実際の方策ではないことに注意してください。

No.52 リスクの特性を解明するとは、どんなことでしょうか? この点についてこれまで議論してきたことに基づいて、あなたはどのように特徴づけますか?

この危害について、どの計測値が最も有効でしょうか?

アフラトキシンが食品を汚染している確率?

食品中の平均濃度(ppb)?

それらが意味を持つために、死をどのように議論に載せますか? 年間死亡数、生涯死亡(lifetimes deaths)、死亡確率、平均余命の減少のどれを使いますか?

リスクの特性解明には、意味のある指標(endpoint)を含まなければならない。癌による死亡は、明らかに、重要な定量化できる指標である。この手順は、そのリスクに、どれ位の可能性があり、どの程度の重篤度であるかを我々に示すリスク査定の一部である。この手順は、それまでのリスク査定の全てを取りまとめます。

No.53 あなたは、アフラトキシンと関連するリスクを特徴づけるために、ここに示した癌の発生率増加を推定したデータを使うことになります。そして、確率論的解析によって不確実性がどのように検討されるかを知ることになるでしょう。

No.54 最終的には、あなた自身が挑戦してください。我々は、「アフラトキシンによって増加する癌はどの程度か?」という質問に答えてみることにしましょう。リスク査定において答えるべき質問を理解したことを確認してください。

No.55 これらのデータのいくつかは、既に示されました。これらは、我々がリスク査定に使うための仮定のデータです。

これらの仮定に、不確定要素がありますか? その不確定要素は重要ですか? ある種の不確定要素は、無作為化、偏り、あるいはその他の原因によるものです。

ng =ナノグラム(1グラムの10億分の1

μg=マイクログラム(1グラムの100万分の1

No.56 最初の手順は、集団に対する可能性を全体として計算することです。e 項は、ad項に基づいて計算します。この計算に必要な数値は、前のスライドに示してあります。

発癌活性は、用量―反応解析から計算されます。B型肝炎の罹患率は、疫学調査を通して計算されます。

リスク査定のこの手順を理解したいと思われる方は、次のスライドに移る前に自分で計算してください。

 

No.57 2の手順は、2b項で2a項を割り、摂取量を計算します。必要な計算をするために、単純に指示に従ってください。何をしているのかを理解するために、十分な時間を掛けてください。数値がどのように組み合わされたかを理解してください。

摂取量の研究は、データを得るのがきわめて難しいことがしばしばあります。毒性学的研究は、一旦実施されると、全ての人に適用可能です。摂取量のデータは、それぞれの集団について調べなければなりません。

 

No.58 あなたは、指標(endpoint)に辿り着きました。これで、癌の増加数が計算できました。さて、この数値から、癌による死亡をどのように推定しますか? ここでの極めて単純化した例では、癌で全て死亡すると仮定します。断っておきますが、より慎重で現実的な例では、そのような仮定に頼ることはありません。