アフラトキシンのリスク査定: 「レッド・ブック」モデル教材
Aflatoxin Risk Assessment: “Red Book” Model Exercise
Charles Yoe博士、ノートルダム大学、メリーランド
この翻訳は、岡本個人が国民教育の教材提供として行うものであり、一切の営利活動とは関係していない。この資料を商業的に利用される方は、「Food Safety Risk Analysis Clearinghouse」とCharles Yoe博士の許可を直接得てください。また、誤訳等があり得ることもお断りしておきます。
No. 18(前回の最後もの)いわゆる安全性の規制値は、その物質を検出する我々の能力の進歩とともに変化してきました。ここで提出される質問は些細なものではありません。我々が検出できれるようになれば、その値はもっと変わると思われます。それは、大半の発癌性物質について使っている閾値(いきち)のないモデルのためです。それについては、後ほど説明します。 Ppbは百万分の1を意味します。 |
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No.19 (岡本註)Charles博士の説明は付いていないが、基準値に業界が技術的、経営的に対応可能かどうかが検討されたことを示してある。このことは、No.18で規制値と分析技術との関係を述べたのと同じ流れであり、安全性は抽象的なものではなく、現実社会における具体的な対応措置を踏まえたものでなくてはならない。 No. 18とNo.19に示したことの科学的意味合いについて、肯定または否定の見解が次に続く。 |
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No.20 あなたがこれらのことを信じるなら、20ppbでアフラトキシンを規制することを意味します。
No.21 あなたがこれらのことを信じるなら、20ppbでアフラトキシンを規制しないことを意味します。 この主張のどこに科学がありますか? 我々は、科学に基づく意思決定であることを理解する必要がある。この主張は科学ではない。(科学に基づく意思決定は)間違っていません。現在ある検出方法を用いても、科学はもっと進歩するでしょう。そして、科学とともにリスク査定は改善されるでしょう。差し当たり、我々はこれらのリスクを管理しなければならず、そして、米国では現在、20ppbの規制濃度に基づいて管理されている。 |
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No.22 FDAは、アフラトキシンに関していくつもの経験を積んできており、それには経済が重要な考慮事項となったこともある。リスク管理は、それに関するリスク査定の結果や科学に全面的に基づくものではない。リスク管理の決定には、その他の要素や経済等の社会的価値が考慮される。 |
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No.23 アフラトキシンの物語は、ある部分では、検出の物語でもある。 カビ毒は数千年に亘って存在してきた。中世ヨーロッパにおける麦角(バッカク)中毒はその1例である。カビ毒が危害として認識されたのは、比較的最近のことである。科学は、我々が過去において気付かなかった問題と取組むように仕向けた。 |
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No.24 ppb(百万分の1)という単位を良く知らない方へ・・・ (スライド中の赤字は、岡本が付け加えた)
No.25 汚染状況は地域によって異なります。汚染頻度は、検疫所で検査した全ての積荷数の内アフラトキシンが検出された積荷数を示している。 これらの中で20 ppb基準を超えているのはどれですか? 最下段を見てください。国が20 ppbの規制濃度を定めていない場合(na)には、輸入禁止となります。 第三世界の国々においては、20 ppbを超える食料を手にするか、食料を手放すかという選択を迫られています。先進諸国ではそのような選択に直面していません。 |
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No.26 あなたの国では、どれほどのヒトがアフラトキシンに暴露されていますか? |
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No.27 あなたの国では、アフラトキシンの規制濃度はどれだけですか? 何が規制措置を改善することになりますか? リスク査定が役立っていますか? |
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No.28 我々の科学的検出能力の経済的帰結を理由として、米国では閾値がないモデルを撤回した。経済的帰結に気付かないでいることは賢明ではない。 |
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No.29 これらのリスク管理の選択肢は、高額の費用が掛かることがある。そこで、リスク査定の結果をひっくり返すことができるという知識で武装し、一部の人々は我々にリスク査定のやり直しを迫る。 |
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(つづく)