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マイコトキシン |
マイコ(カビ)とトキシン(毒素)を合わせた言葉で、これまで300種類を超すマイコトキシンが報告されている。中でも農業、食品工業上、大きな問題となっているのが、アフラトキシン、フモニシン、トリコテセン、ゼアラレノン、オクラトキシン、パツリンである。近年の減農薬・無農薬を目指した有機農法は、食の安全と信頼をもたらすかのように誤解されているが、実は農薬などカビの防除を行なわないことによって、目には見えないマイコトキシン汚染の危険性は格段に高まっている。 |
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ラクトン環 |
環状構造を持つ有機化合物のうち、分子の環の一部としてエステル結合(RCOOR)を含むものを指す。5〜6員環のラクトン構造はテルペン類などの天然物に多く存在し、香気成分やフェロモンなどによく見られる。 |
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ゼアラレノン |
ゼアラレノンは、内分泌攪乱作用を示すいわゆる天然の環境ホルモン(エストロゲンという)で、温血動物に雌性生殖器拡大、脱膣、直腸脱、不妊等の生理障害をもたらす。ゼアラレノンは、家畜用トウモロコシに蓄積することが多く、特にアメリカ、ドイツ、オーストリアなどで家畜に大きな被害をもたらしている。下図左に示す構造(ラクトン環という)を有するが、C. rosea のラクトン環分解酵素 ZHD101 によってエストロゲン活性のない下図右の物質へと変換される。 |
![](/contents/010/058/155.mime7) |
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エストロゲン様作用 |
卵巣濾胞,胎盤などから分泌される女性ホルモンであるエストロゲンに似た作用のことをいう。いわゆる「環境ホルモン」として知られている内分泌攪乱物質がこの作用を示し、生殖機能や生殖器の構造に異常を生じさせる(例えば河川の魚類のメス化)ことで問題となっている。 |
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※5 |
静菌的 |
ある物質を微生物に添加したとき、その微生物を完全に殺してしまう(殺菌的という)のではなく、成育を一時的に抑制する作用を静菌的という。 |
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パーティクルガン法 |
主に植物などへ外来遺伝子を導入させる時に用いられる方法。DNA を金粒子に付着させ、ターゲット組織(植物の場合はカルスという未分化の組織)に減圧下で金粒子ごと高速で打ち込み、組換え体を作る方法をパーティクルガン法という。現在はヘリウムガスで高圧をかけて金粒子を打ち込んでいるが、昔は鉄砲の火薬を用いて打ち込みを行なっていたことから、この遺伝子導入装置をパーティクルガンと呼ぶ。 |
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※7 |
Tn 世代(n = 1, 2, 3,...) |
外来遺伝子をカルスという未分化の植物細胞に導入して得られた組換え体を T0 世代、その系統を自家受粉させてできた子孫を T1 世代、さらに後代を T2 世代、T3 世代という。後代の遺伝子組込みパターンを解析することで、相同染色体の対応する位置1カ所に導入遺伝子が組み込まれたものをホモ接合体という。ある遺伝子の効果を調べる際は、安定に形質固定されたホモ接合体を用いて実験を行なう。 |
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水分活性 |
単純な水の含量ではなく、微生物や酵素などの分子などが利用することができる自由水を水分活性(aw)といい、食品の性質を表す時によく用いられる。自由水の量が多い程、水分活性値は大きくなり、0.00 から 1.00 の間の値である(水の aw = 1 である)。水分活性値が低くなると微生物が繁殖できにくくなり(例えば、細菌では 0.90 を下回ると成育できない)、アカカビでは 0.90 を下回るとゼアラレノンを作らなくない、0.80 を下回ると成育できなくなる。
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