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連続ドラマ:「生き残るためにも」 制作再開決めた高田・読売テレビ社長

 大阪の読売テレビ(日本テレビ系)が10月から全国ネットの連続ドラマを4年半ぶりに復活させる。スポット広告の減収など放送収入が右肩下がりのテレビ界。制作費カットの大波が業界を襲っている今、コストの高いドラマをあえて作るのはなぜか。「テレビ局の生き残りのためにも、今こそ良質のコンテンツを作らなければ」と力説する高田孝治社長(68)に聞いた。【網谷隆司郎】

 ◇俳優らとのパイプ太くし、バラエティーなどを強化

 「ドラマこそテレビ局の総合力が発揮できる数少ないコンテンツ。テレビの華でもあるし、社内も活性化し明るくなる。俳優、タレントとのパイプも太くなり、それがバラエティーや歌番組など他の番組にもつながる副次効果も大きい。それにインターネットの時代、自社制作ドラマがないとホームページのアクセスも少ない」

 高田社長は再開決断の理由を一気にこう語った。生き残り戦略としてもドラマ制作が必要と持論を展開する。

 「ここ7、8年、スポット収入を中心に減少し、もはや放送収入だけでは生きていけない時代。DVD販売、海外への番組販売、映画製作などの収入を増やしていかないと生き残れない。だからこそ、2次利用できるドラマ、アニメが欠かせない。近い将来、NHKがアーカイブスを高度化させ、かつての名作ドラマが簡単に見られるようになると、地上波局には脅威になる。それに立ち向かえるコンテンツを作り蓄積できない局は淘汰(とうた)される」と語る。

 開局50周年を迎えた同局は当初からドラマ作りに熱心で、70年からの新珠三千代主演の「細うで繁盛記」シリーズが根性ドラマの頂点を極めるなど、一時は週に3本放送していたほど。80年からの「木曜ゴールデンドラマ」では鶴橋康夫監督の社会派ドラマ群が多くの賞を取った。だが、21世紀に入り視聴率が低迷。04年1~3月放送の「乱歩R」を最後に全国ネットの連続ドラマから撤退した。

 再開第1作は、130万部を超える水野敬也著の自己啓発系小説「夢をかなえるゾウ」が原作。インドの象の神様が人間の姿になって、自信をなくしている男女に成功のヒント、幸せになるアドバイスをするというファンタジーだ。スタート日にはちょっとした花火が打ち上げられる。7月に新設された東京制作センタードラマ部の初代部長となった田中壽一プロデューサーが説明する。

 「連続ドラマは23時58分から40分枠。いきなりスタートがこの時間では多くの人に伝わらない恐れもあるので、初日はまず午後8時54分から小栗旬主演の2時間ドラマを放送し、その後の23時58分から、水川あさみ主演の連続ドラマにつなげる作戦です」

 今春からWOWOWが連続ドラマを初めて放送するなど、再びドラマ制作の動きが出てきている。ただ、地上波では連続ドラマ過剰説も少なくなく、当分激戦は続く。テレビ局の生き残り戦略とあいまって、しばしドラマ戦争は続きそうだ。

毎日新聞 2008年9月19日 東京夕刊

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