子どもと教育を考える
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第9回】魔法(まほう)の箱(はこ)「ブラックボックス」

 前回は、カデナ米軍基地(べいぐんきち)で飛(と)んでいる「F15イーグル」という戦闘機(せんとうき)が飛ぶ“速度(そくど)の1あたり量(りょう)”を、「マジッククロス」を使(つか)って考(かんが)えたよね。
 その結果(けっか)、速度は「1あたり量(りょう)」として考えられ、秒速(びょうそく)は「1秒あたりの進む距離(きょり)」、分速(ふんそく)は「1分あたりの進む距離」、時速(じそく)は「1時間あたりの進む距離」ということがわかったんだ。
また、距離を求(もと)めるのは「かけ算」、速(はや)さを求めるのは「ニコニコわり算」、時間(じかん)を求めるのは「ドキドキわり算」になることもわかったね。
 「1あたり量」がわかってくると、世(よ)の中(なか)のいろいろなことが見えてきて、社会(しゃかい)や総合学習(そうごうがくしゅう)へ発展(はってん)することができるんだ。

 今回は、不思議(ふしぎ)な魔法(まほう)の箱(はこ)「ブラックボックス」のお話だよ。英語(えいご)だと、「BLACK BOX」というつづりなので、略(りゃく)して「B.B」ともよばれているんだよ。
「ブラックボックス」の入力部分(にゅうりょくぶぶん)にモノを入れると、入れたモノが形(かたち)を変(か)えて、出力部分(しゅつりょくぶぶん)から出(で)てくるんだ。
 特別(とくべつ)なしかけに思えるかもしれないけど、みんなのまわりにも「ブラックボックス」は、たくさんあるんだよ。さっそく、次のQ1で「ブラックボックス」を探(さが)してみよう!

Q.1 
次の「ブラックボックス」の正体(しょうたい)は何でしょう?

(1)
(2)
(3)
A.
(1)
(2)
(3)
ジューサー

自動切符販売機
(じどうきっぷはんばいき)
冷蔵庫
(れいぞうこ)

「ブラックボックス」は、入力部分にモノを入れると、ある決(き)まった変化(へんか)をしたモノが出力部分に出てくるんだ。この決まった変化のことを「ファンクション」というんだ。
 英語だと、「function」というつづりなので、中学(ちゅうがく)や高校(こうこう)で習(なら)う数学(すうがく)では、と書(か)くんだよ。


Q.2
次の「ブラックボックス」で起(お)きた変化(へんか)は、何(なに)をあらわしているでしょうか?

(1)
(2)
(3)
A.
(1)
(2)
(3)
日本一
(にほんいち)
反対
(はんたい)
成長
(せいちょう)

(1)は、日本一高い山と大きな湖は、富士山とびわ湖。(2)は、右と左、東と西は両方とも反対だから。(3)は、オタマジャクシとヤゴは子どもで、成長して大人になるとカエルとトンボになるんだね。
 「ブラックボックス」の(入力)をx、(出力)をyとして、ある決まった変化をであらわすんだ。これから、数学(すうがく)で学ぶ「関数(かんすう)の世界(せかい)」に入っていくよ。


Q.3
次の「ブラックボックス」のの変化は、何をあらわしているでしょうか?

(1)
(2)
(3)
A.
(1)×かける2)
(2)×かける5)
(3)×かける10)



 ユカさんは3km/時間(じかん)の速(はや)さで歩(ある)きます。このとき、時間(じかん)(x)と距離(きょり)(y)との関係(かんけい)を「ブラックボックス」で考えてみると、箱(はこ)の中(なか)には、「3km/時間(じかん)」という変化(へんか)が入っていることがわかります。
そこに、時間(x)を入れると、「1あたり量×いくつ分」という式(しき)ができ、距離である全体量(ぜんたいりょう)(y)が出てきます。


これを表であらわすと…

x(時間) ・・・・・・・・・
y(距離)km 12 15 ・・・・・・・・・

このときで、
いつも3になっていることがわかるね。
この3は、3km/時間(毎時3km)の「1あたり量」になっているんだ。
これを「比例定数ひれいていすう」ともいうんだよ。

さらにグラフであらわすと…


=3(km/時間)になり、グラフの直線(ちょくせん)の傾(かたむ)きを「変化率(へんかりつ)」とよぶんだ。



入力部分に(x)を入れると、出力部分の(y)は、ある決まった変化をして出てくるんだ。数学ではこれを「関数かんすう」とよんでいるよ。


xが2倍、3倍…になれば、yも2倍、3倍になる関係を「正比例関数(せいひれいかんすう)」とよぶんだ。このときの(×3)は比例定数(ひれいていすう)で、これまで勉強してきた「1あたり量」と同じ考えになるよ。


小学校(しょうがっこう)の算数(さんすう)で勉強した、かけ算やわり算の「1あたり量」がわかると、中学校数学(ちゅうがっこうすうがく)の関数(かんすう)の世界も見えてくるよ。


次回は、『あなたもニュートンの世界(せかい)へ』というタイトルで、物(もの)が落(お)ちる「自然落下(しぜんらっか)の法則(ほうそく)」などを勉強するよ。お楽しみに!

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