【コラム】「金融戦争」に参戦した日本
福田政権時は「金融・行政改革の担当特命大臣」が金融分野を統括した。特命大臣は内閣府傘下の金融監督機構である金融庁を統括していたが、実は金融行政分野に改革のメスを入れる役割を果たした。改革を目的につくられたポストが特命大臣だったからだ。従って名前も「金融・行政改革」だった。
ところが今回、金融分野が財務大臣の管轄へと移り、「財務・金融相」になった。韓国を例にすると、財務長官が金融監督院まで担当するようになったようなものだ。まさに国家の財政政策と金融政策の再結合といえる。従来の特命大臣は金融分野を手放し、行政改革に規制改革を合わせて「行政改革・規制改革担当特命大臣」となった。
24日夕に行われた内閣発足記者会見では、当然これについての質問が出た。麻生首相は「機能的な理由からだ。(金融危機対策について)検討する場合、全世界の財務相の中で日本だけが金融との関係がなかった。これは兼務するべきだ」と述べた。果たして理由はこれだけだろうか。
日本で財務大臣が金融まで引き受けるようになったのは、10年前への復帰といえる。1990年代の半ばから後半にかけて金融危機を経験した日本は、「官治金融」が危機の原因となったと考えた。98年に国家経済政策のすべてを握っていた大蔵省から国内金融政策を切り離し、金融庁を新設したのが、反省の結果だった。大蔵省は、戦後の日本経済の復興過程で「金融業界の護送船団」をつくり出したといわれるくらいに、日本産業界全般におびただしい影響を及ぼしてきた組職だ。金融庁を手放した大蔵省は、2000年に金融政策の企画機能まで失い、2001年初めには廃止された。その命脈を受け継いだ財務省が、再び金融庁長官の機能を取り戻すようになったのだ。日本ではこれを「財金一体への回帰」と表現している。
その背景には、麻生首相が話した通り米国発の金融危機がある。日本の政・官界と金融業界は、今回の金融危機を100年に1度の好機と見ているようだ。与党自民党の内部では、今回の危機に伴う世界金融の再編に、日本の金融業界がどのように対処していくべきかが最大の関心事となっている。
こうした自民党の立場を基に、自民党と最も近い右派の読売新聞は25日、「(日本の金融が)復権することができる千載一遇の好機」とつづった。24日には社説で「国境を超えた金融再編の過程に日本の金融機関が続々と参戦している」と報じた。続いて「わずか10年前に長期信用銀行が破たんし、米国資本の手に渡って、新生銀行となったし、3大証券会社の一つだった日興コーディアルグループが米国系の傘下に移ったのが昨年だった。あっという間に(米国と日本の間の)攻守が逆転した」と報じた。また、サラリーマンが最も多く購読する日本経済新聞も24日の社説で「日本勢は金融危機を好機とすることができるだろうか」と書いた。
今日本には買収と出資を要請する米国および国際金融会社からの要請が相次いでいる。日本の銀行や保険会社が米国の投資銀行にいくら投資することになったという報道や、買収することになったというニュースが、毎日のように飛び交っている。麻生内閣はこれを弾みにしようとしている。
東京=辛貞録(シン・ジョンロク)特派員
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