富山県の面積、実態の半分 国土地理院報告書
2008年09月28日 07:25
富山県の面積が実際の半分の広さとして表記されている国土地理院の報告書「全国都道府県市区町村別面積調べ」
国土地理院が毎年発行する報告書「全国都道府県市区町村別面積調べ」で、富山県の面積が実際の半分ほどの広さとして表記される状態が二十年続いている。同院によると、山間部の計五地点で自治体間の境界線が画定せず、富山、黒部、立山、朝日の四市町の面積が定まっていないため、県の面積に算入されていないからだ。境界線を決める基準日は毎年十月一日だが、今年もこの四市町に画定を目指す動きはなく、実態と乖離(かいり)した状態は続きそうだ。
県勢要覧によると、県の面積は四千二百四十八平方キロメートル。だが、国土地理院の報告書(平成十九年版)では二千四十六平方キロメートルしかない。
報告書の面積は同院が作る五万分の一の地図を基に算出していたが、二十年前の昭和六十三年、基準は二万五千分の一の地図になった。当時、精密な地図上での稜線の位置などをめぐり自治体間で見解が一致せず、境界線が未画定となった。これに伴い、面積が定まらない自治体が現れた。
境界未画定エリアは、市町村合併を経た現在、富山市と立山町の間に二地点、黒部市と立山町、黒部市と朝日町、黒部市・朝日町と長野県白馬村の間に各一地点ある。報告書の富山県欄には、実際は約千二百四十平方キロメートルある富山市、約三百平方キロメートルの立山町など四市町の面積が記されておらず、県の面積にも含まれていない。国土地理院北陸地方測量部(富山市)の関崎測量課長は「関係自治体の認識が一致すれば境界線を引くが、こちらから画定を働き掛ける立場にはない」と話す。
報告書上の面積は地方交付税の算定基準の一つだが、同税算定に限った面積に関しては、各自治体に合意した数値があり、「地方交付税のもらい損ねといった不利益はない」(県市町村支援課)という。四市町も「報告書上だけの問題で、差し迫って境界を決めようという考えはない」と口をそろえる。
未画定エリアが山小屋などしか建造物がない山岳地帯にあり、境界線の明確化を求める住民が少ないことも、自治体が動かない理由だ。富山市と立山町の未画定エリアで五色ケ原山荘を経営する志鷹昌彦さん(45)は「固定資産税を両市町に分割して納めるといった面倒な点はあるが、困るほどではない」と話している。
北日本新聞ご購読の申し込みはこちらから