相場のトレンドを見極めるもう1つの指標「IV」
過去の当コラムで、デイトレーダーは、HV(Historical Volatility、ヒストリカル・ボラティリティ、歴史的価格変動率)の高い銘柄の中から、売買対象を選ぶべきといった。これはこれでいいと思う。
しかし、将来の相場のトレンドが上下、それとも横どちらなのかを判定するには、もう1つのボラティリティが存在することを覚えてほしい。それが、IV(Implied Volatility、インプライド・ボラティリティ)だ。Impliedとは、「それとなくほのめかされた」という意味だ。つまり、IVとは、それとなくほのめかされた将来の価格変動率のことだ。なお、私は、IVの計算式を覚えなさいとか、理解しなさいというつもりはサラサラない。あくまでも、見方を覚えて欲しいということなのでご安心いただきたい。
IVとは、今、多くの投資家が、相場が大きく上下どちらかに動くと思っているか、それとも、動かずに横ばいと思っているかどうかを判定する指標だ。IVは、大きくなればなるほど、多くの投資家が大きく動くと思っているということを示す。逆に、IVが小さければ小さいほど、多くの投資家は、相場は今後も動かず横ばいだと思っていることを示すのだ。
こう書いても、初心者デイトレーダーにはピンと来ないかもしれないので、例え話をしておこう。
一般的な人は、海外旅行に行く場合、海外旅行傷害保険に加入すると思う。もちろん、加入しない人もいるだろうが、多くの人は、海外で病気やケガ、盗難、事故などさまざまなトラブルが発生する可能性があると考えて、加入するものだ。万が一、トラブルが発生した場合、その補償は海外旅行保険に加入していれば安心だからだ。
変な話だが、楽しむために海外にわざわざ行くのに、多くの人は保険という「リスク・ヘッジ」を掛けるものなのだ。旅行期間中の安心感を得るために。とくに、治安の悪い国に海外旅行に行く場合を考えてみよう。治安の悪い国に行く場合には、ワンランクアップの補償の付いた保険に入ると思う。例えば、携行品を盗まれた場合の最大保証金額10万円ではなく、50万円にするとか。当然、補償額が大きくなれば掛け金は大きくなるものだ。
この海外旅行傷害保険の掛け金を、IVと考えて欲しい。つまり、海外旅行に行って、なんらかの損害を被る恐怖が高まれば、支払おうと思う掛け金は大きくなり、そうでなければ、掛け金をケチるだろう。
これを相場に当てはめると、空売りしている(相場が上にいったら困る)投資家からすれば、相場が上へ大きく動く可能性が高まっていく恐怖感が高まれば、掛け金を払ってでも、相場がメチャクチャ上がっても自分のポジションが大丈夫なような保険に加入したいと思うだろう。
逆に、お腹一杯に株を買っている投資家からすれば、相場が下へ大きく動く可能性が高まっていく恐怖感が高まれば、相場がメチャクチャ下がっても自分のポジションが大丈夫なようにするべく、掛け金を払ってでも保険に加入したいと思うはずだ。
しかし、相場が大きく動かないなら、空売りしている投資家も、お腹一杯株を買っている投資家も、保険に加入する気はおきないだろう。つまり、投資家の恐怖感が高まればIVは上がるのだ。