記者になって5カ月。多くの出来事を取材してきたが、その難しさを実感している。交通事故で長く意識不明だった17歳の少女が、入院先の病院で意識が戻り、快方に向かっていることを書いた。
記事になり、少女が通う学校の教師から「記事を読んでうれしかった」と電話をもらった。素直に「書いてよかった」と感じた。しかし、同時に記事を読んだテレビ局が番組制作で取材に来ていることを、少女の母親から聞いた。
新聞に載ることは、取材先に何らかの影響を与えるかもしれない。新人の私でも少女には細心の注意を払って取材した。病院に記者やテレビカメラが入ることは少女や家族の大きなストレスになりはしないか、と。「マイペースで取材に応じたらいいのでは」と助言しつつ、その発端が私であることに、記事の影響力を考えさせられた。【尾垣和幸】
〔下関版〕
毎日新聞 2008年9月28日 地方版