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社説
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2008年8月27日

教員不正採用/問われる日教組の癒着構造

 大分県で発覚した教員の不正採用に対して、他の都道府県は合否の事前連絡をやめ、採点で教育委員会(教委)以外の職員を配置するなど、疑惑をもたれないよう是正策を取った。

 だが、大分事件で問われた教委と教職員組合(教組)の癒着の問題を正した教委は皆無に等しい。これでは構造的な教育界の汚職を防げるのか極めて疑問である。

焦点そらす書記長談話

 大分県における日教組の組織率は、教員だけに限ると90%近い。全国有数の高さである。それを背景に国旗国歌反対闘争が活発で、県教組は「ミニ懇談会」と称して保護者を学校に集め、「教育基本法改悪阻止」闘争に勧誘するといった目に余る政治活動などを行ってきた。

 大分県民間教育臨調が昨年、国歌斉唱について県内八十二の小・中学校で調査した結果、「全員または大部分が斉唱できる」のは九校にすぎなかった。反対闘争を主導している日教組教員には、国歌の指導ができないことを裏付けたものだ。

 教員採用では県教組の「採用枠」があるほか、加入しない受験者は採用されず、不正採用は県教組の組織率維持のために作られたとの指摘すらある。問題を正すべき県教育委員長(当時)も県教組での活動歴があり、自浄が困難視されているほどだ。

 日教組の組織率が高い都道府県では、教委と教組の癒着がしばしば問題化してきた。そうした自治体では、両者が「協定」を結び協力しつつ、事実上、教組が教育現場を支配してきた。

 教員の任地先の希望を教組が窓口となり、まとめて事前に教委と突き合わせ、昇進人事では教組の推薦が不可欠とされた。それで昇進したい教員は教組に頭が上がらず、校長になった後も教組の“指導下”に置かれた。

 その典型的な県が大分だった。その大分県教組出身の岡本泰良氏が今年四月、日教組の書記長に就任したのだが、今回の事件に対する見解は焦点をそらしたものだった。

 岡本書記長は不正採用で「教組枠」の存在について報道されると、それを打ち消す談話を発表した。だが、当事者だった人物の発言を鵜呑みにするわけにはいくまい。

 また、「全国の各教職員組合とともに、教育委員会に対して、公正・透明な採用システムの確立を求めていく」とも語った。しかし、それを実現するために必要なことは、日教組自身がこれまでの教委との癒着を反省しそれを清算することのはずだ。

 日教組の中村譲委員長も、「教育に対する信頼を根底から破壊した事件であり、断じて許すことはできない。学校現場に大きな混乱をもたらしている」とまるで他人事の発言をしている。

一地方の問題ではない

 日教組が組織の維持やイデオロギー教育、政治闘争のために教員不正採用に関わっているとするなら大きな問題だ。癒着構造を温存している自治体があるのも看過できない。

 都道府県は「事前協議」など癒着が残っていないか、直ちに調査すべきだ。文部科学省には真相究明の責任がある。教員不正採用問題を一地方の贈収賄事件として済ませてはならない。


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