【コラム】米国経済の低迷を笑える立場にはない(上)
米国型金融資本主義に対して「カジノ経済の終えん」と心から軽蔑するかのような報道が相次ぎ、「そうなると思っていた」と住宅バブルの崩壊をあらかじめ予想できなかった米国をあざ笑う預言者たちもずいぶん増えた。ついには平凡な主婦たちの間でも「それでも自分たちのほうがずっとマシだ」と安心するかのような雰囲気さえある。
このような雰囲気は、韓国政府が「9月危機説」をネット上のデマとして神経質になって押さえ込んだことから、さらにひどくなった。金融機関や大財閥の倒産は今のところなく、社員に対するリストラを行っている企業がほとんどないことも理由の一つだろう。
しかし事情をさらに探ってみると、われわれも米国をあざ笑えるような状況にはない。米国経済が抱える四つの経済問題。すなわち「不動産バブルの崩壊」「インフレ圧力」「金融不安」「ドル不安(ウォン安)」は、韓国もその影響から逃れられないからだ。
不動産市場を見てみよう。米国のように価格の暴落が現実とはなっていないが、売れ残りマンションが急増して多くの開発プロジェクトが中断している。不動産の市場価格も大きく下落した。
「どこからか火花が上がればたちまち大火災へと広まる直前の状態にある」というのが専門家らの指摘だ。火山が爆発する直前にネズミなどが急いで逃げ出すように、最近は不動産を担保とする融資を多く抱える貯蓄銀行で多くの異常な徴候がみられることを、善良な預金者たちはしっかりと把握しているのだろうか。
インフレ圧力についてはもはや言うまでもないだろう。韓国銀行は今年の物価上昇率を3%前後に抑えたいとしていたが、現時点ですでにその2倍の6%近くにまで上昇している。
金融不安は複数の中堅財閥グループで現実化しており、倒産直前に追いやられた中小企業も秋になってから急激に増加している。過剰な融資を行っていた金融機関の中には、不安な表情を隠せない事例が多い。
ウォールストリートで派生金融商品を購入したことで損害が大きく膨らみ、その事実を公開できない銀行さえもあるという。このまま1年が過ぎれば、ニューヨークで起こっている連鎖倒産がソウル汝矣島の金融街では絶対に起こらない、とは誰も断言できなくなる。
宋煕永(ソン・ヒヨン)論説室長
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