前回は、「マジッククロス」を使って、
「全体量」を求める計算 → 「かけ算」
「1あたり量」を求める計算 → 「ニコニコわり算」
「いくつ分」を求める計算 → 「ドキドキわり算」
…というように、3つのかけ算とわり算の種類を見分けられることを学習したね。
今回は、身につけた「かけ算」、「ニコニコわり算」、「ドキドキわり算」を使って、沖縄のカデナ米軍基地と嘉手納町のことを勉強するよ。地理や歴史、そして平和を考える勉強も盛りこんでいるので、それもいっしょに楽しみながら、「かけ算」と「わり算」の世界を広げてみよう。
Q.2
わたしたちが住んでいる、“日本”全体の「人口密度」はどれだけかな?
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A.
2003年10月1日の調査で、イラストのようなデータが出ているよ。
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「マジッククロス」で考えると、「人口密度」は「1 あたり何人か」を求める計算なので、

「1あたり量」が?だから、 「ニコニコわり算」だね。よって、こういう式が考えられるよ。
(式)
1,27708050人 |
÷ |
3,728,5690 |
= |
?人/ |
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この式を電卓で計算すると、答えは約342人/ になるよ。
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Q.3
日本のいちばん南にある、沖縄県本島のちょうど中ほどに嘉手納町という町があるんだ。
この町の人口は13766人で、面積は15 だよ。(2003年10月1日調査)
Q.1とQ.2で学んだことを生かして、この町の「人口密度」を計算してみよう。 |
A.
「マジッククロス」で考えると、「人口密度」は「1 あたり何人か」を求める計算なので、

「1あたり量」が?だから、 「ニコニコわり算」だね。よって、こういう式が考えられるよ。
(式)
13766人 |
÷ |
15 |
= |
?人/ |
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よって、答えは約918人/ になるよ。
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嘉手納町は日本全体より、ずっと混み合っているということが、Q2とQ3の答えをくらべるとよくわかるね。でも本当の嘉手納町の「人口密度」の数字は全然違うんだよ。どうしてかな?
それには、歴史や社会などの事情も関係してくるんだ。次のCHAPTER2から、その秘密を解き明かしていこう!
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Q.4
この嘉手納町には、住民が絶対に入れない場所があるんだ。それはどこかわかるかな? |
A.
カデナ米軍基地
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〜住民が入れないカデナ米軍基地〜

この町の中には、フェンスで囲まれた土地があるんだ。それが、答えに出てきた“カデナ米軍基地”なんだね。ここは、嘉手納の人たちの土地だけど、自由に入ることができない決まりになっているんだよ。
住民は自分たちの土地に入るために、わざわざパスポートが必要で、無断で入るとアメリカ軍の警察に捕まってしまうんだ。
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Q.5
いま、嘉手納町の面積のどれくらいが、米軍基地になっていると思う? 次の3つの中から選んでみよう。
(1) 3分の1
(2) 半分くらい
(3) 4分の3以上
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A.
正解は (3) だよ。図で表したように、なんと町の面積の83%が、フェンスで囲まれた米軍基地なんだ。
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Q.6
Q.5の答えを参考にして、嘉手納の人たちが、実際に住んでいる町の面積を求めてみよう。
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A.
83%が米軍基地だから、残りの「100%−83%」で、残りの17%に町民が住んでいることになるね。そして、%は百分率といって、小数倍のことなんだ。百分率は「100%」を「1」とみることなんだ。すると、
100% ⇒ 1.00
17% ⇒ 0.17
つまり、17%は0.17倍と考えられるよ。
「マジッククロス」で考えると、
「全体量」が?だから、 かけ算になるね。よって、こんな式が考えられるよ。
(式)
15 |
× |
0.17 |
= |
2.55 |
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Q.7
では、“本当の”嘉手納町の「人口密度」はどれだけかな?
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A.
「マジッククロス」で考えると、
1あたり量が?だから、 「ニコニコわり算」だね。よって、こういう式が考えられるよ。
(式)
13766 |
÷ |
2.55 |
= |
?人/ |
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よって、答えは5398人/ になるよ。 |
嘉手納町は、Q3でふつうに人口密度を求めたときよりも、もっともっと人口が混み合っている町だということがわかったね。すごい人口密度だと思わない? どうして、こんな町になってしまったかは、次のミニ知識2で紹介するよ。
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〜嘉手納町の人口密度が増えたわけ〜
今から59年前まで、嘉手納町の土地は全部、住民のもので、自由に出入りできたんだ。
ところが、1945年4月に、太平洋戦争で、たくさんのアメリカ軍が沖縄の島に攻めこんで来て、嘉手納町を占領したんだ。戦争が終わった後、住民をみんな遠くの収容所に閉じこめて、その間に勝手にフェンスで囲んで、広大なアメリカの軍事基地(=“カデナ米軍基地”のことだね)をつくってしまったんだ。
戦争が終わって59年もの月日がたった現在も、自分たちの土地をぜんぜん返してもらえないし、自分の土地に入ることもできないんだ。太平洋戦争が起きたのはすいぶん前なので、今は平和な国だと、ほとんどの人は思っているかもしれないね。でも、沖縄では、完全に戦争が終わったとはいえないんだ。みんな、自分の住んでいる町が嘉手納町みたいだったら、どう思う?
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「人口密度」は「人口÷面積」で1 あたりの人口を求める「1あたり量」なんだ。「マジッククロス」を使った ニコニコわり算で求めることができるよ。
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☆ |
百分率(%)は小数倍のことなんだ。たとえば、Q6にも出てきたように「100%」を「1」とみると「17%」は「0.17倍」と考えられるよ。
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☆ |
今回の勉強は、「1あたり量」「人口密度」を計算することで、沖縄にあるアメリカの軍事基地の問題を考えることができたね。このように、“計算した数字から、何を考えるか”ということも、算数にとって大切な勉強なんだ。 |
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次回は、カデナ米軍基地の「F15イーグル」という戦闘機が飛ぶ“速度の「1あたり量」
を、引き続き「マジッククロス」を使って考えていくよ。お楽しみに!
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