このblogでもよく書かせていただいている,家族の話。
先日の記事でも,「精神科にかかってくださる患者さんだって,ご家族に本人の様子をよくわかっていただいて治療に協力していただくほうが患者さん本人の負担がより少なくなって治療もスムーズに行きやすい」なんて書いたばかり。
ですが。
患者さんご本人もしんどいだろうけど,彼らをいちばん近くで見守りながら病状を悪化させないよういろいろと気を遣ってくださるご家族の負担ってとっても大きいはずですよね。
しかも,本人の病状に関する疑問や質問は主治医に尋ねて解決すればいいけれど,ご家族自身の不調やしんどさについては患者さん本人と同じ主治医にどんどん打ち明けるわけにはいかない…だって,ご家族が本人を心配をすることで疲れたり悩んだりしているということをまさか本人の前で主治医と相談するわけにはいかないですから。特にうつ病の場合にそんなことをしてしまったら,患者さんは「自分のせいで家族はこんな大変なことに…」と余計に自責の念に駆られることになってしまうでしょうし。
そして,患者さん本人が調子を崩して精神科にかかっているということを,そうそう積極的に周りに打ち明けられない場合もあるでしょうし,そうなるとご家族は本人の主治医はもちろん自分の周りのひとたちにも自分のしんどさのことを相談できないということになってしまいます。
そんなふうに考えてみると,ご家族って私たちが想像する以上にしんどくて孤独だったりすることがきっと多いんですよね。
さて,そんなしんどくて孤独であろう患者さんのご家族の方々に対して,私たちができる支援ってどんなことなんだろう? と最近考えてみたりしています。
もちろん,患者さんの診察に同席してくださったご家族に対しては,患者さんの自責感を刺激しないよう配慮しながらご家族の苦労をねぎらうこともできます。それは私自身,日々の臨床のなかでできるだけ心掛けていることのひとつです。質問や声掛けの中身をうまく工夫すれば,患者さんの目の前で患者さんを看病するご家族のがんばりをねぎらうことは可能です。でも,毎日の診療のなかでご家族おひとりおひとりにそれほどたくさんの時間をかけることもできない…。
そこで,もしもできることなら。
患者さんのご家族同士が集まれる,自助グループのようなものが作れたらいいな,と考えています。
自分の大切な家族が精神科で治療中だということを隠さずに済んで,お互いのしんどさがわかりあえて,悩みを共有したり解決策をみんなで分かち合ったりできる,そんなグループ。
発達障害のこどもたちの親御さんのためのグループなどは全国各地わりと多くみられるように思いますが,たとえばうつ病の配偶者をもつひとたちのグループなんて少なくとも私の住む地域では聞いたことがありません。
安心して相談できたり場合によっては愚痴をこぼしたりもできて,アドバイスをし合ったり励まし合ったりもできて。
いきなり自主運営で始めていただくのは難しいだろうけど,初めのうちは病院スタッフが関わったりしていけば,うまく形が作れるかも。
ご家族をうまくサポートできれば,それは結果的に患者さん本人にもいい方向に働くはず。
いつかこの計画を実現させることができるよう,もっといろいろ詰めて考えてみたいと思います。

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