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空白の30分、際立つ特異性 千葉の女児遺棄1週間 '08/9/28

 千葉県東金市の保育園児成田なりた幸満ゆきまろちゃん(5)が遺体で見つかった事件は二十八日で発生から一週間。狭いエリア内で、最後の目撃から遺体発見までわずか三十分弱という特異性が際立つ。物証に乏しく、犯人像も絞り込めない。県警の捜査本部は“空白の三十分”を埋めようと、懸命な捜査を続けている。

 二十一日正午すぎ。幸満ちゃんは激しい雨の中、傘も持たずに走っていた。遺体発見現場近くの路上。知り合いの十代の女性が背後から「ゆきちゃん」と声を掛けたが、一瞬、振り向いただけで走り去ったという。

 女性は「険しいというか、時間に遅れそうで焦っているような感じだった」と不思議がる。

 午後零時二十六分、公園そばの側溝上で衣服を身に着けていない遺体が発見された。午後一時ごろには、近くのマンション駐車場で衣服や靴を入れたレジ袋も見つかった。

 幸満ちゃんは午前十一時ごろは、母親の多恵子たえこさん(38)が勤務し、祖父が経営する病院にいたのが確認されている。

 病院、目撃された路上、遺留品と遺体の遺棄現場は、住宅やマンションが立ち並ぶ半径約百五十メートルの範囲内に収まる。

 狭いエリアで短時間の犯行。ある捜査員は「犯人像がまったく分からない。謎の多い事件だ」と嘆く。物証は、レジ袋から検出された不鮮明な指紋数個ぐらいだ。

 司法解剖で、両腕のすり傷、頭部などの皮下出血が確認されたが、事件との関係は不明。死因も窒息死の疑いがあるが、断定はされていない。

 捜査本部は、幸満ちゃんが車などに連れ込まれた可能性があるとみているが、激しい雨で現場付近は足跡やタイヤ痕の採取が困難だった。

 遺体やレジ袋の遺棄状況から、犯行を隠すつもりもなかったとみられ、捜査本部はその意図も測りかねている。

 幸満ちゃんが走っているのを目撃した女性は「数年前から公園でよく遊んだ。本名で呼ぶと嫌がるので『ゆきちゃん』と呼んでいた」と、捜査本部に説明したという。

 それほど親しい人の呼び掛けにも応じず、どこへ向かっていたのか。




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