【北京・西岡省二】「これ以上、トラックが通ると道路が壊れる」--。中朝貿易の大動脈、北朝鮮平安北道(ピョンアンプクド)新義州(シンウィジュ)と平壌を結ぶ幹線道路のうち約半分の区間で8月下旬から、北朝鮮当局によって道路保全を名目にトラックの通行が禁止されたことが分かった。同国経済関係者が明らかにした。道路が著しく劣化しているのに補修費がなく、地元幹部が対応策をひねり出した形だが、中朝貿易関係者からは「運送効率を遅らせる『後ろ向きの経済策』だ」と非難の声が強まっている。
新義州は国境の川、鴨緑江(アムノックカン)を隔てて中国遼寧省丹東に接する中朝貿易の拠点都市。平壌までの幹線道路は、外国からの援助物資輸送などに使われる重要な陸のパイプになっている。道路は鉄道の平義(ピョンウィ)線(平壌-新義州間、224キロ)とほぼ並行に設置され、うち約半分が平安北道内を走る。
関係者によると、この道路では自然災害などで多くの陥没が起きているが、国や地方の財政破綻(はたん)から補修できず、通行の際の危険が増しているという。平安北道トップの金平海(キムピョンヘ)朝鮮労働党平安北道委員会責任書記は「重量のある車両が通行すれば道路の劣化を早めてしまう」として、トラック通行を禁止。小型乗用車など軽量の乗り物に限って走行を許可した。
毎日新聞 2008年9月26日 2時30分(最終更新 9月26日 13時58分)