【社説】北朝鮮有事の際、休戦ラインの安定が重要
これまで米軍と韓国軍が協力して行ってきた戦闘機操縦士の捜索・救助活動を、30日以降は韓国軍が単独で行うことになる。操縦士の捜索・救助とは、韓半島(朝鮮半島)で操縦士が任務途中に遭難したり敵前で孤立したような場合に、昼夜を問わず捜索を行って救助するという任務だ。これを最後に在韓米軍の10大任務がすべて韓国軍に移管されることになる。
在韓米軍の任務移譲が終了すれば、表面的には、韓国軍が平時だけでなく戦時にも作戦統制権を行使できる基盤が整えられることになる。しかし現在、韓米両国がこのようなことをしている場合かを改めて問い正したい。
現在の北朝鮮は、金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康異常問題でその統治体制が流動的な状況にある。今後は金総書の死去やそれに近い状況が突然起こる可能性がある。北朝鮮の後継者が誰になるのか決まっていない現在の状況では、権力が移動するプロセスが順調に進むとは予想できない。北朝鮮国内の複数の勢力間に対立や衝突が起これば、どちらかが軍事的挑発を行うことで北朝鮮国内や世界の関心を休戦ラインへと向けさせる可能性も考慮に入れなければならない。韓半島の平和と民族の運命は薄氷の上に立つような立場となるからだ。そうなった場合に大韓民国と大韓民国軍の至上の目標は、どのようなことがあっても休戦ライン周辺で異常事態が発生することを防止し、韓半島がその薄氷の上を無事に通過できるようにすることとなるだろう。
韓米間の戦時作戦統制権の移管は、北朝鮮が核実験を行った直後に合意し、また在韓米軍の10大任務の移管は金総書記の健康異常が伝えられた直後に完了した。つまり最も不適切な時期に始まり、最も危険な時期に終了しようとしているのだ。すでに北朝鮮はこれまで進めてきた核廃棄の作業も後戻りしており、金総書記も姿を見せなくなってから43日が過ぎようとしている。世界最強の米軍が担当してきた任務、それも今後さらに強化する必要があるような任務がすべて韓国軍の役割となった。今が果たしてその適切な時期なのか、また北朝鮮の軍部がこれをどのように見つめているのか、誰もが振り返る必要がある。
自主国防という原則だけから考えれば、韓半島の軍事的状況に対して韓国軍が主導権を持って対応するのは当然であり、いつかそうなるのもまた当然のことだ。しかし現在の韓半島で何物にも変えられないのは戦争の防止だ。自主国防という言葉の響きがいくら良くても、それが相手の誤解や過ちを引き出す可能性があり、また戦争のリスクを高めるものであれば、決して進むべき道ではない。今は韓国軍が欲を出したり急ぐような時ではなく、また米軍も、これまでの責任や負担から逃れることばかりを考えるべき時でもない。
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