佐賀のがばいばあちゃん
絶賛を浴びた舞台をさらに磨きあげて登場。9月25日から30日。中日劇場
【社会】出産時胎児死亡、和解が成立 院長が父母に異例の謝罪2008年9月27日 朝刊 三重県四日市市の産婦人科医院で、出産中に胎児が死亡したのは医師の誤った措置のためだとして、胎児の父母で同市の若林一道さん(49)真奈美さん(47)夫妻が医院と院長(68)に損害賠償を求めた訴訟は26日、津地裁四日市支部(安間雅夫裁判長)で和解が成立した。院長は同日、和解内容に基づき出廷し、原告らに謝罪した。 和解は、このほか院長が裁判で問われた事実や過失を認め、賠償金を払うとの内容で、原告側の実質的勝訴となった。原告側弁護士によると、医療過誤訴訟の和解で、被告の医師が法廷で謝罪するのは異例。和解金額は公表しなかった。 被告側の弁護士は「和解調書にある通り」としている。 同院長はこれまでにも数回医療ミスで提訴されており、ミスを繰り返す「リピーター医師」の裁判として注目されていた。 訴状や鑑定書などによると、真奈美さんは2000年9月、破水後に来院。難産となり腹部を圧迫しながら吸引分娩(ぶんべん)をする措置を受けたが出産に至らず、院長は「様子見」として病室を3時間半離れた。その後、帝王切開手術で胎児を取り出したが、搬送先の病院で死亡が確認された。 裁判では、吸引分娩を途中で止めたことや、その後の3時間半の「様子見」が適切だったかが争点となり、同地裁は鑑定書などから不適切だったと判断。死亡との因果関係を認めた。 院長は01年、同市の女性が院長らの麻酔の投薬ミスで死亡した事件で、06年に業務上過失致死罪で罰金刑を受けた。ほかにも2件の民事訴訟で損害賠償金を支払い、1件は係争中で、市民団体「リピーター医師をなくす会」などから非難されていた。 01年の投薬ミスで妻を亡くした同団体の伊藤永真代表(42)=同市=は、院長らリピーター医師を放置した責任は国にあるとして提訴し、現在、津地裁で係争中。 同医院は2001年12月から産科の医療行為は行っていない。 ◆真実証明できた 原告「問題提起の材料に」「くるみ(亡くなった胎児に付けていた名前)の死が医師の不適切な行為によるものであって、死ななくてよかったことが分かった。悲しいけど、くるみや私に原因があるのではないことが分かってうれしい」。原告の若林真奈美さんは26日、実質勝訴の和解を受け、そう話した。 出産から1年後、新聞などでこの産婦人科医院が2件の裁判で出産中の医療ミスを問われていることを知った。 うち1件は自分の出産から約1カ月後の出来事。「自分も医療ミスでは」との思いを強くした。 最初は裁判に持ち込む気はなかった。しかし、分娩(ぶんべん)後5年で診療記録が処分されることを知り、提訴を決意した。「なぜ赤ちゃんが死んだのか、本当のことを知りたかった」。2003年12月に提訴した当時を振り返る。 「リピーター医師が相手のこの裁判を、問題提起の材料にしてほしい」と、ミスを繰り返す医師の免許をはく奪するなど、行政処分ができる仕組み作りを訴えた。 夫で市民団体「リピーター医師をなくす会」副代表の一道さんも「厚生労働省の医道審議会は、(殺人や強制わいせつなど)人間として問題と言われる人しか処分していない。医師が本当に一定レベルの能力があるのかをチェックする場がない」と話している。
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