東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 経済 > 紙面から一覧 > 記事

ここから本文

【経済】

リーマン人材 流出阻止作戦 野村 報酬1000億円用意

2008年9月27日 朝刊

 経営破たんした米証券大手リーマン・ブラザーズのアジアと欧州部門の買収を決めた野村証券が、引き継ぐ欧州やアジア地区の新社員約五千五百人の流出を食い止めようと、懸命な努力を始めた。今回の買収は資産も顧客口座も対象外で、最大の目的のノウハウが人材ごと流出してしまっては、元も子もないからだ。

 香港やロンドンで実質的な交渉にあたった柴田拓美副社長は買収合意後すぐ、ロンドンで現地社員を集め、不安を抑えようと「リーマンの魂は消えない」と呼びかけた。文化の違う日本企業による買収で動揺する社員の不安を抑える狙いだ。

 最大の関心事である待遇面でも、英フィナンシャル・タイムズ紙によると、社員二千五百人に対して、二年間の報酬として計十億ドル(約一千億円)以上を用意したと伝えた。

 また、二〇〇九年秋まで残れば、前年と同等の賞与を支払うことも伝えているという。しかし、金融関係者からは「元リーマン社員から(転職の)あいさつ状が届いた」との声も聞かれ、流出がすでに始まっているのも事実だ。野村はまさに成功をかけた時間との競争に直面している。 (坂田奈央)

 

この記事を印刷する