TVやJanJan報道などの影響で「高知白バイ事件」は、全国的な関心事になりつつある。そのためか、高知県警は異例の記者会見を開き、世論の鎮静化を図った。一方、片岡さんは、2年前の事故当日に現場に居合わせた人から重大な証言を得ていた。裁判の証拠写真が合成されていた可能性がにわかに浮上してきた。
弁当食べ過ぎの高知県警察本部
黒岩交通部長の記者会見
高知県警の黒岩交通部長が9月5日に、異例の記者会見を開きました。県警が、「高知白バイ事件」がインターネットを通じ全国的に話題になっていることを重視したからのようです。黒岩交通部長の発言の要点は、3つあります。
1 「現場のバスのスリップ痕は、警察官が捏造した」という片岡さんの主張に対しては、「絶対あり得ない」と反論しています。
2 「スリップ痕の存在は、事故後8ヶ月たって初めて知った」という片岡さんの主張に対しては、「被告が衝突地点を指し、スリップ痕を確認している写真を証拠提出している」と強調しています。
3 「1mのバスのスリップ痕はつかなかった」との実験結果については、「実際のバスは、白バイを巻き込み走行しており、状況がちがう」と反論しています。
合成写真ではないのか?
9月17日の朝、片岡晴彦さんと電話で話しました。内容は、事故当日のある重要な証拠写真(黒岩交通部長が2で言及)が合成されたものではないか、という疑問とその根拠についてでした。片岡さんの話をここに再録します。
スリップ痕の証拠写真1
片岡さんの話
9月12日に、事故当日(平成18年3月3日)、現場にいち早く駆けつけて来てくださった方に会うことができました。
彼は、高知方面から春野方面に走行中、荒倉トンネル出口付近の渋滞とぶつかり、(事故かな)と思って、北にあるレストラン駐車場に車を停め、事故現場に駆けつけ、救急車にけが人を乗せてくださったのです。また、バスの中に生徒たちがいたので、南のレストランの2階に避難させるために、レストランの社長といっしょになって、生徒たちを誘導してくださったのです。
バスに乗り込んで、生徒たちに「けがはありませんか?」と確認してくださったのです。私が「バスに乗った時に、私は運転席にいましたか?」と聞くと、「乗っていませんでした」との答えでした。確認のためにもう1度「乗っていましたか?」と聞いてみました。すると、はっきりとした口調で、「運転席には誰もいませんでした」との答えでした。
私の記憶でも、私は、事故後ずっと運転席を離れたままだったのです。事故発生後、バスから降りて、救済処置としてけが人を救急車に乗せ、「よろしくお願いします」と言い、救急車を見送ったのです。そして現場検証に立ち会うために、外で待機していました。しかし、その時に、パトカーが来ました。そして、「3時4分逮捕する」と言われ、現場から引き離されたのです。私は、現場検証から隔離されていたのです。
裁判で、検事から1枚の写真を突きつけられました。私がスクールバスの運転席から体を乗り出している現場写真です。そして、バスの下には、大きなスリップ痕が写っていました。どうして、事故後すぐ降りてから、再び乗っていないのに、こんな写真があるのだろうとずっと疑問でした。スリップ痕があるのも不思議でした。しかし、彼の証言を聞いて、胸のつかえがとれました。
友人から、当日事故現場にいた方の話を聞かされ、私の事故後の行動を聞きたくて、お会いした次第です。事故後、気が動転していた私の記憶は定かではなく、運転席にいる写真を見せられても、はっきりと「乗っていませんでした」と否定することができませんでした。
問題の写真は、私を事故の「犯人」に仕立て上げた重要な証拠写真です。しかし、今、あれは、合成されたものと考えます。どこかから持ってきた「私とスリップ痕」の映像を貼り付けたのです。私は、事故直後にバスの運転席を離れてから、1度も運転席にはついていないのです。事故は、午後2時34分頃で、3時4分には、私は逮捕され、現場から引き離されていたのです。その証人が、9月12日に見つかったのです。
捨てる神がいれば、拾う神がいることを改めて感じました。貴重な休日を、私のために時間を割いてくださり、本当にありがたいことでした。
黒岩交通部長に質問です
1.「スクールバスと白バイと片岡さんと1m以上のスリップ痕が同時に写っている写真は、合成写真である」という片岡さんの見解についてどうお考えですか? もし、合成写真でないなら、それを証明することができると思いますので、高知県警の名誉のために、再び記者会見を開き、証明をお願いしたいと思います。
2.この2枚のスリップ痕の写真は、警察が検察に提出した130枚のスリップ痕の写真のうちの2枚です。証拠写真1は、昼間撮影で、証拠写真2は、夜間撮影と想像されます。9月16日、交通事故鑑定人の石川和夫氏から次のような話を聞きました。この2枚の写真を双方で同時に見ながら、電話で話したのです。以下に石川氏の話をまとめますので、この石川氏の解析について疑問や反論がございましたら、お手数とは存じますが、反論、批判のほどよろしくお願い申し上げます。(『JanJan』の記者登録をすれば、記事も書けますし、コメント欄にコメントを書くこともできます)
スリップ痕の証拠写真2
交通事故鑑定人・石川和夫氏の話
交通事故鑑定人の石川氏のスリップ痕の解析結果の要点を以下に箇条書きにします。
1.バスのタイヤゴムが路面の凹凸によって削られてできるスリップ痕が、路面の凹部にまでついている(スリップ痕が液体でできていたということ)。
2.スリップ痕にタイヤゴム固有の溝がない。
3.スリップ痕は、前方より後方が濃くなるが、写真のスリップ痕はその逆である。
4.前輪の左右2つのタイヤによるスリップ痕が、同心円を描いていない。
5.前輪の左右2つのタイヤによるスリップ痕先端の色の濃い部分と、色の薄い部分とは、ずれ込んでおり、幅がちがう(後から書き足したからと思われる)。
6.前輪より鮮明なスリップ痕を残すはずの、後輪スリップ痕がまったくない(130枚の写真の中に1枚もない)。
筆者の感想
片岡さんによると、事故を起こしたスクールバスに片岡さんが乗っている写真は何枚か存在するそうです。明らかに合成写真と思える写真も片岡さんは見せられているそうです。私も、1枚は見た記憶があります。写真というのは、やはり、真を写しているわけで、合成したりすると、いくら巧妙にやっても、微妙な違和感が生じます。私もどうもしっくり来ない写真だな、とは思っていました。
それはあり得ない写真なのです。事故後、片岡さんは運転席にはもどっていないし、現場検証にも立ち会っていないのです。何者かが、証拠写真を合成したものと考えられます。
高知県民を守るのが、高知県警の仕事です。しかし、高知県警は、スリップッ痕の捏造のみならず、合成写真まで作って、無実の1県民を罪に貶めた可能性が出てきました。
もちろん、高知県警にもいろいろな方がいらっしゃるとは思います。しかし、高知県警の面の皮が厚いという話を、私は、いろいろ承知しているのです。日頃から、「市民オンブズマン高知」の友人からいろいろ聞いています。この記事を書く前に「あの領収書の話を『JanJan』に書いてもいいか?」とその友人に電話で聞き合わせたら、「事実だから全然構わん。ただ今、係争中だ」という返事でした。ある日の500万円の領収書の内訳が、「弁当代」だったのです。
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