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2008/09/26

ナマコ、ナマコ

デイリーポータルというサイトがあるんだが、ニフティがライター使って書かせているようなんだが、まぁ、小学生の工作みたいなネタも多いんだが、時々、それなりに興味深いネタもなきにしもあらず、なわけだ。で、今回は感動の巨編なんだが、5週間かかって干しナマコを作って食うという話です。まず、ライターの父親である海鮮問屋の親父が死んだというところから。

 1年365日、40年間。休まずに働き続けた父はある日突然死んでしまいました。働き過ぎ。残されたのは店と、売り物と、母。母は店を閉める決意をし、在庫を売り尽くそうと頑張りました。

 結果、まず生き物が全部売れ、いけすが不要になりました。不要になったいけす(店の裏にあるいけす)のポンプを止め、海水を抜くと、大きないけすの底にナマコが何匹、何10匹と見つかりました。

貝類は生かしたままで売るモノなんだが、ナマコというのは、売り物ではなかったらしい。ナマコは貝の排泄物をせっせと食べて水を浄化してくれる。グアムなんぞでも、夕方になって観光客が浜から消えると、地元の人がナマコを撒くのだそうで、汚れた砂を洗い、水を綺麗にしてくれるわけです。で、明け方、観光客が出てくる前にまた回収します。で、この店のナマコというのも伊勢海老や貝類など、生かしたまま売る商品のための、海水浄化装置だったらしい。




 父がどれほどいけすの水質を気にしていたか、その大量のナマコたちを見て判りました。生き物を売るのは神経を使う仕事です。ウッカリ管理を怠ると1ヶ月分の儲けなんて一気に飛んでしまう仕事です。そりゃ胃に穴が開くはずです。

そのナマコを見て、僕は何も言えませんでした。

いけすの底からバケツ4杯分も出てきたナマコ。それを、この人は食おうと考えるわけだ。日本ではナマコは酢ナマコなんぞで食うらしいが、時期外れなので、中華風に干しナマコを作って、それを戻して食おうという企画なんだが、ナマコを干すというのがまた、興味深いです。で、コレなんだが。

ナマコの眼 ナマコの眼
価格:¥ 4,068(税込)
発売日:1990-02

文化人類学の世界では名著と言われている本です。白人がオーストラリアを「発見」する遙か昔、オーストラリアからナマコが中国に「輸出」されていたという、驚くべき仮説を証明した本で、中国人がジャンクに乗って、まずはインドネシア多島海に行き、そこでブギス人の船に乗り換えて島を幾つも渡って延々と旅を続け、程良い風向きを見計らってオーストラリアにまで渡るわけだ。目的は、このナマコだ。オーストラリアでは原住民のアボリジニを手なずけて雇い、海岸でせっせとナマコを採取し、茹でる。ナマコというのは97パーセントくらいが水分らしい。そのままでは中国まで運べない。腐ってしまうので、乾かさなきゃならない。水分を除去する第一歩は、まず茹でるわけだ。茹でたら浜に並べて日に当てて乾燥させる。ただ、そう簡単には感想しないらしいね。で、数ヶ月ほどもそんな作業をするんだが、やがてまた風向きが変わるわけで、すると急いで仕事を片づけて船にのって帰って行くわけです。貿易風を逃すと一年間、閉じこめられてしまう。

で、乾燥ナマコ、半乾燥ナマコ、茹でただけのナマコを積んだ船は、島から島へと旅を続ける。船の甲板でもナマコ干し、港に着くとそこでも干し、延々と干し続けながら何ヶ月もかかって中国まで運ばれて行くわけで、コレが「白人がオーストラリアを発見」する遙か以前から、延々と行われて来たというのだ。で、中国に着く頃にはすっかり水分が抜けてカチカチになっているわけで、本土の中国人というのは誰も生のナマコというモノを知らないわけです。で、料理に使うには、このナマコを一週間かかって戻します。ナマコ料理というのは、そういう意味では中華料理の真髄みたいなところがあるんだが。

デイリーポータルの記事では、そんな干しナマコ作りの過程と料理を写真付きで掲載しているわけだ。ちなみに料理は醤油味で、ごくごく簡単だそうで、とても美味しくできあがったそうで、親父さんのいい供養になった事だろう。干しナマコ、今でも中華料理では珍重されていて、といっても「珍味」とか「ゲテモノ」といったジャンルではないです。高級食材です。日本でも作ってます。日本の食材はナマコだけじゃない、中国では作れない伊豆の原木シイタケや、気仙沼のフカヒレ、干しアワビなど、中国人垂涎の食材がいくらでもあります。伊豆半島を訪れる台湾観光客は、修善寺の干しシイタケを土産に買っていくので有名なんだけどね。スーパーに行くと中国産のシイタケいくらでも売ってるんだが、アレはオガクズで作っているので、品質が全然違うわけです。

コメント

水で戻す時にチンコに見立ててるのが供養になって無いですww
ケイジはたまに気持ち悪い顔をアップで写すのは勘弁してほしいですw
3月ぐらいだと水がきれいなんでハーバーの海底にナマコがゴロゴロしてるのが見えますね。

今日のほそいあやはシンナー臭でラリってるようですw

オラがグアムに行った時には昼間でもナマコだらけでしたがw
初めてナマコ酢を見た時は絶対なんかの幼虫だと思いました。
まあ、今でも食わず嫌い王な訳ですが・・・これからも食いません

 このわた も忘れちゃいけない。
 日本人は何でもものを大切にして、魚でも鯨でも内臓から皮まで、何でも利用した。自分達が欲しい部分だけ取ってあとは捨ててしまう毛唐や自民党とは文化が根本から違う。
 「もったいない」という精神はとても大切だと思うね。炭素税などでは地球は救えない。万物に霊性が宿ると信じ、他者に対する慈しみの心を忘れない日本の伝統的な価値観こそが、今必要とされているのではないかな?
 目先の繁栄に浮かれたB層やら朝鮮カルト政党やら売国官僚が支配する日本では未来は無いが、日本人が本当の日本人による統治を取り戻せば、案外日本の未来は明るいのではないかと思う。そのためには政府与党や財界に巣食う売国勢力を徹底的に追求せねばならない。
 
 話は変わるが、野次馬おぢさんの一番の好物は、やはりワカメ酒と生のアワビですかw

宝船ってのは華僑の交易船だったらしいですね。(岡田英弘説)
倭国の昔から日本列島は宝の島で、
(食材、漢方薬材料、翡翠真珠貝類、後には金属や刃物、武器類とか)
その交易の中継地が昔の半島南西部の諸国。
倭国や日本との交易はものすごく儲かったので
その代金として高価な漢籍や文物が渡って来て
正倉院やお寺などに残っているという事かなぁ。

このわたもちゃんと作ってますよ。美味しく出来たようです。

前にナンプラー作って悲惨な結果になってましたがww

万物に霊が宿ると考える価値観はインディアンも同じ
そのインディアンがどういう目にあったか
そう考えると太平洋戦争を大東亜戦争と呼ぶことに抵抗が無くなった

...で、そのナマコは『赤』か『黒』か?って言うことに家の年寄はこだわっていたような気がする。いや、何でも、値段や味が大変違う、と買って来て料理する人、とそれを食べる人、がそれぞれに言っていたような気がする。ナマコ酢。中国料理ではない。餓鬼には何のことやらさっぱり分からなかったが。

>父がどれほどいけすの水質を気にしていたか、その大量のナマコたちを見て判りました。

背中で見せて語らない親父。ザ日本ですね。日本的感性と奥深さの現れ。
であると同時に継承が途絶える一因でもあったり。
子弟が「見切れず」「盗れず」に途絶えた至高の業は星数のごとく。
せめて粋の部分は書き留めてでも残して欲しい。それが次世代の役に立つ。
隠喩でも遠回しでもいいから。

牡蠣の浄化力も素晴らしいらしいですね
水槽の水質保持に牡蠣を飼う人もいます

> このわたもちゃんと作ってますよ。美味しく出来たようです。
 
 いま、リンク先のHP見ました。
 特に、最後の段落が良い話ですね。ルパン三世に出てくる石川五右衛門の師匠の形見の話を思い出しました。
 
> 万物に霊が宿ると考える価値観はインディアンも同じ
 
 結局、他者を思いやる、自ら足るを知る民族は、貪欲な略奪者によって略奪される運命にあるのだと思います。湯田やシナチョンらの略奪者がすき放題略奪し、もし足るを知る民族を絶滅させたなら、彼らの自滅する日は近いと言えるでしょう。
 目先の金のために日本人の誇りを捨て、ゴキブリどもに加担した自民や売国官僚の連中の罪はとてつもなく大きい。
 他者から奪い、邪魔者を殺し、拡大することしか考えていない連中は、地球にとってはガン細胞と同じだ。

ナマコと牡蠣が日本と世界を救うのですね。わかります。
明瞭にわかりますた。

屋久島の海にもなまこがいて、とても海と砂浜がきれいで驚きました。
日本の内地の太平洋側の海とは比較になりませんわ・・・・

確か、ガラパゴス諸島に生息するなまこを密漁して売ってる人たちがいて大抵売り先は中国だと行ってたよ。(NHK特集でやってた)
人間がそうやって自分たちの欲しか考えないと地球が荒らされるんだよねー、ガラパゴスの今の危機状況って人間がもたらしたものだヨ?。世界遺産になったばかりに人間にあらされている「遺産」なのでした。

ここの店の干物、メチャメチャ美味かったんだよ。
もう食えないのが残念でしょうがない。

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