●政権選択の様相
自・民「一騎打ち」が増
麻生政権が24日誕生し、政局の焦点は、新首相がいつ衆議院を解散するかに移った。県内では、自民、民主の両党が15選挙区すべてに公認の候補者を擁立する構えを見せており、選挙となれば、「麻生自民」か「小沢民主」かの政権選択をめぐる戦いとなる見通しが強まっている。
前々回の03年衆院選では、民主が15議席のうち10議席を獲得したものの、郵政民営化の是非が争点となった05年の前回は「小泉旋風」の追い風を受け、自民が9議席を得た。今回、民主が何議席まで獲得し、「民主王国」が復活できるのかが注目される。
2代続いた政権の「放り出し」など自民への批判が強まっていることを背景に、民主は15選挙区全勝を狙う。一方の自民は現状並みの議席維持が目標だ。公明は選挙区での擁立を見送り、比例区に力を注ぐ。前回、全選挙区に候補者を立てた共産党は、今回は5選挙区に絞る方針。残る選挙区で共産票がどう動くのか、2大政党の勝敗に影響を与える可能性もある。社民党も候補者擁立を模索する。
衆院選をにらみ、立候補予定者らは動き始めている。各選挙区の情勢を5回に分けて紹介する。〈敬称略〉
【1区】名古屋市東区、北区、西区、中区
【2区】名古屋市千種区、守山区、名東区
【3区】名古屋市昭和区、緑区、天白区
【4区】名古屋市瑞穂区、熱田区、港区、南区
【5区】名古屋市中村区、中川区、清須市、北名古屋市、西春日井郡
【6区】春日井市、犬山市、小牧市
【7区】瀬戸市、大府市、尾張旭市、豊明市、日進市、愛知郡
【8区】半田市、常滑市、東海市、知多市、知多郡
【9区】一宮市(旧尾西市の区域)、津島市、稲沢市、愛西市、弥富市、海部郡
【10区】一宮市(旧尾西市の区域以外)、江南市、岩倉市、丹羽郡
【11区】豊田市(旧稲武町の区域以外)、西加茂郡
【12区】岡崎市、西尾市、幡豆郡、額田郡
【13区】碧南市、刈谷市、安城市、知立市、高浜市
【14区】豊川市、豊田市(旧稲武町の区域)、蒲郡市、新城市、北設楽郡、宝飯郡
【15区】豊橋市、田原市
《1区》
篠田 陽介(35)自現 党青年局次長
河村たかし(59)民現 〈元〉党副幹事長
木村 恵美(58)共新 〈元〉病院看護師長
《2区》
宮原美佐子(46)自新 〈元〉マラソン選手
古川 元久(42)民現 党年金調査会長
斉藤 愛子(53)共新 党県委員
《3区》
馬渡 龍治(51)自現 〈元〉衆院議員秘書
近藤 昭一(50)民現 〈元〉党県代表
本村 伸子(35)共新 〈元〉参院議員秘書
●「チルドレン」挑戦
1区は知名度を誇る民主現職の河村たかしに、「小泉チルドレン」の自民現職、篠田陽介と共産新顔の木村恵美が挑む。河村は逆風だった前回05年の郵政選挙でも得票率50%、10万5千票あまりを獲得。小選挙区制開始の96年以来、毎回票を伸ばす強さを見せてきた。「さらに票を上積みしたい」と6選を狙う。
篠田は武部勤・元自民党幹事長の元秘書で、前回は「落下傘候補」に近い存在だったが、比例で復活。3年間、街頭演説やミニ集会を重ねて地元への浸透を図り、無党派層の取り込みに力を入れる。
木村は雇用対策を訴え、生活不安の受け皿をめざす。
●自共が女性の新顔
2区は民主現職の古川元久に自民の宮原美佐子と共産の斉藤愛子の新顔2氏が挑む。
古川は厳しかった前回も03年総選挙と同じ11万票を集め、自民候補に比例復活を許さなかった。党年金調査会長を務めるなど政策通としての評価が浸透している上、支持基盤の強化に向けた地道な運動を続けてきた。
ソウル五輪マラソン代表だった宮原は、党県連の公募による立候補。公認決定が7月で、準備の遅れは否めないが、知名度を生かして無党派層への浸透を図る。
斉藤は05年に続く立候補。国民目線の改革を訴え、支持票の民主への流出を阻む。
●自民共三つどもえ
3区は民主現職の近藤昭一に、比例区で復活した自民現職の馬渡龍治と、共産新顔の本村伸子が挑む。
近藤は前回、逆風の中で過去最多の11万票を獲得。県議、市議に支えられた盤石な選挙態勢をとる。「縦割り政治を変え、医療、年金、介護に予算を」などと訴え、政権交代を期す。
馬渡は前回、衆院解散当日の立候補表明ながら、小泉旋風の追い風に助けられた。街頭活動やこまめな地元回りを通じて知名度を上げてきた。教育や環境などの分野での実績を強調する。
本村は社会保障の充実や平和問題などを訴える。