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◆中国製乳製品に入っていたメラミンって何?
なるほドリ メラミンが入った中国製乳製品による健康被害が広がっているね。そもそも、メラミンがなぜ乳製品に入っていたの?
記者 メラミンは合成樹脂の主原料になる工業用化学物質です。主に食器や塗料、接着剤に使われています。中国では生活が豊かになるにつれ牛乳消費量が毎年20%近く伸びました。一部の牧場経営者が生産量を増やそうと水で薄めた牛乳に混ぜ、たんぱく質の量を多くみせようとしたのです。約40年前に日本でも飼料製造業者がメラミンの類似物質「アンメリン」を飼料に加えたことがありました。
Q なぜ、たんぱく質の量を多く見せかけることができるの?
A 食品中のたんぱく質量は一般的に窒素をどれだけ含むかで推計します。メラミンは窒素を多く含むため、牛乳に混ぜると、たんぱく質の測定値が水増しされるのです。
Q 色やにおいで、わからないのかな。
A メラミンはアンモニアを高圧化して作る尿素から生成され、無色無臭の結晶です。だから健康被害が出るまで誰も気が付かなかったのでしょう。動物実験では毒性は低いとされています。
Q じゃあ、なぜ健康被害が出ているの?
A 中国ではメラミン入りの粉ミルクを飲んでいた乳児が腎臓結石などを発症し、5万人以上が治療を受けています。乳児にとって粉ミルクは主食です。「毒性が低くても大量摂取すれば影響が出る」というのが専門家の見解です。
Q なぜメラミンを摂取すると腎臓結石になるの?
A 結石発症の仕組みは、はっきりしません。しかしメラミンとシアヌル酸という物質が混ざると、結石ができやすいと考えられています。米国では07年、猫や犬が相次いで死に、ペットフードの中国産原材料からメラミンが検出されました。米獣医師会が死んだ動物の腎臓内にあった結晶を分析した結果、シアヌル酸70%、メラミン30%の構成でできた物質でした。シアヌル酸はメラミンの製造過程で一緒にできることがあります。しかし、今回の粉ミルクにシアヌル酸が混ざっていたかどうかは明らかになっていません。(科学環境部)
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毎日新聞 2008年9月26日 東京朝刊